コラム Columns

国際興業株式会社様インタビュー

GL BARRIER+紙でホテルアメニティの歯磨き粉包装が“脱プラ”

国際興業株式会社様インタビュー

定番の歯磨き粉ポリチューブを紙化してプラスチック削減に貢献

東京都中央区にある国際興業株式会社様の「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」にGL BARRIERを使用した紙パッケージをご採用いただきました。従来のポリチューブを紙化させ、日本パッケージングコンテストでは日用品・雑貨包装部門賞を受賞。業界の3Rを進める商業部次長の花岡貴様に、TOPPAN営業担当の石上が開発の経緯などをお聞きしました。


バイオマス天然素材が浸透する中、歯磨き粉はポリチューブのまま

石上(TOPPAN): 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法/プラ新法とも)」がスタートし、日本のホテル業界でも3R+Renewableの基本原則に沿ってさまざまな取り組みが進められていると思います。

花岡様(国際興業): 欧米のホテルを中心に、宿泊客にアメニティの持参を推奨する流れもあります。とはいえ、日本国内のホテルでは歯ブラシなどの設置をゼロにするのは無理がありますよね。

併せてプラ新法が施行され、日本のホテル業界ではプラスチックの年間提供量を5t未満にするよう各事業者が知恵を絞っています。私たちが扱うヘアブラシやかみそりにもバイオマス天然素材に代替が進んでいる一方、脱プラ素材に代替できずにきたのが歯磨き粉のポリチューブです。

石上(TOPPAN): 単体としては重さ1g前後であり、プラスチック使用量としては少ないかもしれませんが、やはり脱プラが必要なのですね。

花岡様(国際興業): 実際のところ、業界内のプラスチック使用量は大幅に削減できています。しかし、指先でつまめる小さな歯磨き粉チューブが海に流れたら、それこそ海洋生物が飲み込む可能性がありますよね。だから脱プラ素材への切り替えを課題に感じていました。

代用品として、口に含んでからブラッシングをする歯磨きタブレットや、紙包装のポーションパックなども試しましたが「泡立たない」「風味がいまいち」「高コスト」など、現実的ではありませんでしたね。

石上(TOPPAN): プラスチックの歯磨き粉チューブは、使う人の押す力に合わせて中身が出てくるので便利ですよね。

以前はアルミ製の歯磨き粉チューブもよく見かけました。アルミはバリア性に優れ、歯磨き粉の品質を守って香りも保ちますが、リサイクルできないことが課題ですよね。製造工程におけるCO₂排出量の多い素材でもあります。

花岡様(国際興業): ポリチューブの歯磨き粉は、ホテル業界では30年以上にわたり使われてきました。過去には歯ブラシ本体の毛先に歯磨き粉を付着させたインスタント歯ブラシもありましたが、泡立ちや洗浄力が良くて香り高いポリチューブの歯磨き粉を歯ブラシ本体と分けて添えることにより、サービス向上が図られました。

現在、ポリチューブ歯磨き粉は日本で推定3億個、全世界で考えると推定36億個が使用されているという試算もあるほどです。それだけ広く、長く普及しているのですね。

袋や箱入りのセットから、歯ブラシと歯磨き粉を分けてよりエコに

石上(TOPPAN): アフターコロナ、ウィズコロナの今、ホテル業界も宿泊客数が回復してきたように思います。一方で従業員の人手不足が気になりますが、アメニティとの関係などはいかがでしょうか。

花岡様(国際興業): 清掃スタッフを確保できない施設では、客室へのアメニティの補充が間に合いませんよね。そのためバイキング形式を採用し、宿泊客がフロントで好きなアメニティを好きなだけ取っていく仕組みが広まっています。

それでも「誰もが毎日使うものだから」と、歯ブラシと歯磨き粉だけは部屋に置いておくホテルも少なくありません。歯ブラシと歯磨き粉をセパレートにすることで「使うたびに歯ブラシが捨てられるのを防げる」「歯磨き粉のみ補充できる」といったメリットがありますよね。

石上(TOPPAN): アメニティの中でも、確かに歯ブラシと歯磨き粉は使用頻度が高いです。こうした背景もあり、歯磨き粉チューブのプラスチックからの脱却が不可欠だったのですね。

花岡様(国際興業): 良い、悪いの話ではなく、日系ホテルは特に“おもてなし”を大切にするため、宿泊客が使い慣れてきたポリチューブの歯磨き粉を選ぶ傾向があります。

対して欧米を中心とした外資系は脱プラへの切り替えが早く、弊社の「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」も続々と問い合わせをいただいています。最初に導入してくれたのも世界的に有名な外資のホテルチェーンでした。

 

「プラの代用は紙。紙といえばTOPPAN」と、出合いは商社を通じて

石上(TOPPAN): 御社とは2022年の春に出合いました。商社の佐々木化学様にご紹介いただきましたよね。

花岡様(国際興業): 佐々木化学さんは、ホテルアメニティの包装、容器に関する以前からのパートナーです。「プラスチックの代わりになるのは紙ではないか」と相談すると「ヘアケア関連製品をTOPPANの紙パックに入れている実績がある。紙は彼らの得意分野だから何とかなるかもしれない」と返ってきました。

そしてTOPPANさんからは「パッケージを立体的に仕上げるには専用の機械が必要になります」「歯磨き粉の香りを保つために包材のバリア性を高くしましょう」といった提案を受けました。

石上(TOPPAN): かなりの回数でテストを重ねられましたよね。

花岡様(国際興業): どんなに考え抜いた包材でも、歯磨き粉を充填する機械との相性があります。こればかりは試験を繰り返さないと分からず、充填後にパンクしたこともありました。輸送時の気圧変化にも耐えられるかなど、入念にチェックしましたね。

TOPPANの新たな主力、GL BARRIERと水性フレキソ印刷を投入

花岡様(国際興業): 近頃のTOPPANさんは本当にサステナブルです。SX(サステナブルトランスフォーメーション)という考え方もお持ちですよね。

石上(TOPPAN): 弊社は減プラ製品の実績が多くあります。その中で花岡様からプラスチックの紙化という話を頂き「必ずや主力商品のGL BARRIERが力になるはず」と思いつきました。

そして紙の比率を52%にした複合素材として提案し、パッケージの表面に紙マークを表示できるようなパッケージ構成を考えました。

花岡様(国際興業): 面白い提案でした。GL BARRIERは高いバリア性が特長ですよね。

石上(TOPPAN): 中に入れる製品の質を保ち、香りをほとんど逃がしません。水分の蒸散も抑えるため時間がたっても粘度が上がりにくいですね。そのため歯磨き粉に最適だと考えました。

先ほども話した通り、アルミのバリア性は非常に優れていますが、環境負荷が大きいためGL BARRIERの開発が進められた次第です。

花岡様(国際興業): 「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」の開発段階を振り返ると、形状についても試行錯誤しましたね。まず弊社としては、宿泊客の方々がパッと見て歯磨き粉だと分かるよう長細いフォルムを求めました。カフェなどで見かける砂糖の紙パックに見間違えられるのを避けたかったのもあります。

2022年末に納入してもらい、翌年2月の国際ホテルレストランショーで業界に初披露しました。今でも覚えていますが、サンプルが底をつくほど来場者が手に取っていき、反響もかなり大きかったです。その後、似たような商品を作る業者も現れてきました。

裏を返せば「歯磨き粉のポリチューブはいずれ姿を消す」との確信につながりました。マーケットも紙化した商品に移行しつつあり、弊社の「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」は見事に先陣を切ったといえるでしょう。

石上(TOPPAN): おっしゃる通り、まさに一石を投じたと感じています。加えて「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」には、環境配慮型の水性フレキソ印刷を提案しましたね。

従来はグラビア印刷が定番でしたが、化学的な溶剤を使うため環境や人体への影響が避けられず、また、インキを色ごとにオーブンで乾燥させるため消費電力の高さも課題とされてきました。

対してTOPPANが導入した水性フレキソ印刷には、より環境負荷が低い水性インキが使われ、インキの乾燥も設備的な構造から1回で済みます。そのためグラビア印刷に比べてCO₂排出量が少ないですね。

花岡様(国際興業): その点も今回の企画にぴったりだと思いました。

石上(TOPPAN): さらに言うと、フィルム基材への印刷の場合はフィルムの裏に刷るため表面が擦れることによるインキの欠落はあり得ませんが、紙を基材にすると、表に刷るため印刷後にインキがはがれる可能性がありました。そのため、上からニスでコーティングしているのもひと工夫です。

花岡様(国際興業): 紙に強みを持つTOPPANさんならではの対応ですね。相談して本当に良かったです。

「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」をお客さまに提案するたびに「こんなのあるんだ」「いまどきで面白い」と興味を持っていただきます。都市部の外資系ホテルだけでなく、今後は地方での採用も本格化するだろうと予想しています。

石上(TOPPAN): 出張で福岡のホテルに泊まった際、ロビーのアメニティコーナーに「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」が置かれていました。あの時は本当にうれしかったです。

花岡様(国際興業): すぐに連絡をくれましたよね。地球を思うと紙化は必須ですが、まだポリチューブの歯磨き粉のほうが使いやすいのは事実です。使い勝手を改良し、より筒状に近づけるなど、これからもTOPPANさんと佐々木化学さん、それに充填協力会社への相談は不可欠だと感じています。


環境配慮性が高く評価され「2023 日本パッケージングコンテスト」で受賞

石上(TOPPAN): さらに「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」は2023 年の日本パッケージングコンテストで日用品・雑貨包装部門賞に選ばれました。御社、佐々木化学様、弊社の3者による受賞でうれしかったです。

花岡様(国際興業): 当社は日頃からコンシューマー向けのビジネスが少なく、TOPPANさんからコンテストに応募すると聞いた時も正直ピンときませんでした。それでもTOPPANさんの社内で製品の評価が高いと聞き、応募自体もそうですが、まさかの受賞をいただき、他の受賞作品を眺め、この賞が名誉あることだと改めて理解しました。

石上(TOPPAN): 応募を前にまずは社内審査を通過するため、関係者に製品の魅力を訴求することになります。「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」は「紙化」「GL BARRIER」「水性フレキソ印刷」というCO2排出量削減に寄与する3つの要素が盛り込まれているため、 社内審査の通過と会社からの推薦はとてもスムーズでした。しかし、コンテスト自体の応募総数はおよそ700点とライバルが多いこともあり、私もまさか受賞できるとは思っていませんでした。

花岡様(国際興業): 他社では、100%リサイクルのアルミ缶や紙包装の電池などが受賞していましたね。比べて「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」は、ホテル内のみでの露出ながらも、素晴らしい要素が詰まっていると高く評価されました。

そもそも国際興業はバス会社であり、表彰式では「なぜここに立っているのだろう」と、ふと不思議に思いました(笑)。でも次第に「こんなに考え抜かれた製品と肩を並べているのか」と、実感が湧いてきました。

石上(TOPPAN): KITTE丸の内で開催された「暮らしの包装商品展2023」でも展示されましたよね。

花岡様(国際興業): 展示会のカタログ、実際の展示で「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」と「国際興業」の文字を目にした時にはさすがに感動しました。「TOPPANさんのおかげで自分は今ここにいる」って。

ホテル発の脱プラ提言も面白いはず。業界を盛り立てようと歯ブラシの再資源化にも着手

石上(TOPPAN): 素晴らしい製品が完成した今、今後の目標などはございますか。

花岡様(国際興業): ホテル業界ではシャンプーなども脱プラを進められるでしょう。アメニティ以外にも視野を広げ、紙化、GL BARRIERを応用したアイテムを展開させたいですね。高い可能性を秘めていると感じます。

石上(TOPPAN): 「ホテルアメニティ 歯磨き粉 紙サシェ」のおかげで私たちが進めるSXもさらに加速しました。弊社は環境分野に投資し、関連ビジネスを拡大させる中で、GL BARRIERは今後も核になる素材です。紙化や水性フレキソ印刷と組み合わせることでプラスチックからスイッチできると、これからも提案を続けます。

花岡様(国際興業): プラ新法によってホテル業界は動き始めましたが、コンシューマー向け商品は大きく遅れている気がします。コンビニやドラッグストアなどで目にする数々のアイテムは、ホテルではすでに脱プラされているのに、まだプラスチックが多く使われていますよね。

だからこそ、ホテル発信の脱プラ・減プラも面白いと思います。非日常の空間において、親子や夫婦、友人らと見たもの、使ったものが「なぜプラスチックではなくなったのか」と考える機会を提供することは、非常に有効なコマーシャルになるでしょう。

石上(TOPPAN): 花岡様はアメニティ・リサイクル協会の理事も務めていますよね。競合会社とも結束してホテル業界を盛り上げられていると伺いました。

花岡様(国際興業): 一般社団法人アメニティ・リサイクル協会(https://www.amenity-recycle.com/)では、例えば宿泊施設で使われたプラスチック歯ブラシを回収し、洗浄、粉砕して再資源化につなげています。原料をメーカーに送って51%の再生プラスチックを含む新たな歯ブラシを作っているのです。

このように日本のホテル業界において、さらにリサイクル循環型の仕組みを確立させようと3Rの取り組みを展開させています。ますます大きな流れになることを期待し、活動に励んでいます。

(写真左から)佐々木化学 清田様、国際興業 花岡様、TOPPAN 石上

TOPPANはパッケージに関する、
さまざまな課題にお応えします。
お気軽にご相談ください。

お問い合わせ
関連事業
関連会社
トップ戻る