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株式会社やまと蜂蜜様 インタビュー

「なんでもやってみよう」の精神を支える共創パートナーに —やまと蜂蜜が選んだ、小ロット充填の新たな可能性

やまと蜂蜜様 対談 

EP-PAKで目指す持続的な成長と環境配慮の両立

奈良県に本社を構える株式会社やまと蜂蜜様は、社名に冠した蜂蜜事業から始まり、時代のニーズを捉えながらポーション容器への液体充填技術を磨き上げてこられました。現在は飲料や調味料、ゼリーなど多岐にわたる液体食品のOEM充填事業を主軸とし、「ユーザーに寄り添う」「なんでもチャレンジする」という精神で、多くのブランドオーナーから厚い信頼を寄せられています。

そんな同社が、事業の持続的な成長と環境配慮の両立を目指す中で新たなパートナーとして選んでくださったのが、TOPPANの紙製容器「EP-PAK」です。プラスチック容器を主力としてきたやまと蜂蜜は、なぜ紙製容器の導入を決断したのか。そして、十数年越しの導入に至るまでには、どのような物語があったのか。

株式会社やまと蜂蜜 藤井真士 副社長、そしてTOPPANで同社との窓口を担う石田真子、大橋滋の両名に、その軌跡と未来への展望を聞きました。

POINT

お客様の課題

・主力事業であるプラスチック製ポーションパック製品は、全体売上の8〜9割を占めており、環境問題の高まりに対して事業継続に対するリスクを感じていた。
・「なんでもやってみる」というチャレンジ精神に応えるべく、多種多様な液体を小ロットから充填可能な、環境配慮型の新しいパッケージの商品開発を模索していた。
・既存の充填機が老朽化により、更新を検討する中で、将来的な事業の拡大を見据えた設備投資判断が求められていた。



プラスチック事業だけでは、市場から排除されかねない危機感があった

はじめに、やまと蜂蜜様の事業内容について改めてお聞かせください。

藤井様(やまと蜂蜜): 我々やまと蜂蜜は、その名の通り奈良県での養蜂事業からスタートした会社です。創業者が養蜂技術の振興メンバーとして海外に渡った際、機内でポーション容器と出会い、「これに蜂蜜を詰めれば、もっと手軽に使ってもらえるのではないか」と考えたことが、当社の液体充填事業の原点となりました。

その後、大手飲料メーカー様との出会いをきっかけに、充填する中身を蜂蜜からコーヒー用のガムシロップへと切り替えたことで、事業は大きく転換しました。1980年代の当時はちょうど日本でアイスコーヒーが流行り始めた時期でもあり、製糖メーカー様からの資本参加も得て、当社はガムシロップメーカーとしての道を歩み始めました。その後、濃縮飲料や調味料、ゼリーなど、さまざまな液体状食品をポーション容器に充填するOEM事業へと拡大を続けてきました。

飲料分野においてポーション容器への充填を行う企業は、当時から日本でも数社しかありませんでした。競合の少ないニッチな領域だったんです。その中で、飲料や調味料の大手メーカー様との取引を通じて、当社の製造技術と対応力を強みとして確立してきた歴史があります。

近年では、リキュール製造免許や菓子製造業の許可も取得されるなど、さらに事業を拡大されていますね。

藤井様(やまと蜂蜜): 平たく言えば「なんでも屋」です。5年ほど前、社長交代を契機に「『ひと』と『ものづくり』の価値創造」というミッションを掲げ、より深く、より広く事業に携わる姿勢を強めてきました。
その中で、主力であるプラスチック製ポーションパック製品が売上の8〜9割を占める状況に対し、環境問題の高まりによって市場から排除される可能性があるという危機感を抱いていました。そこで、環境配慮型の紙パック充填事業への展開を目指し、「EP-PAK」導入を検討するに至ったのです。


十数年越しの関係が実を結ぶまで——長い歴史の中で育まれた信頼

「EP-PAK」導入に至るまでの経緯について、詳しく教えてください。

大橋(TOPPAN): 私は現在、販売促進部という立場で「EP-PAK」を拡販する営業支援を行っていますが、以前は長年やまと蜂蜜さんの担当営業をしていました。やまと蜂蜜さんとのお付き合いは、現社長のお父様である先代が社長を務められていた時代から、かれこれ15年ほどになります。

当時の担当者が飛び込みでうかがったのがきっかけでした。「我々もパックをやっているので、一緒にお仕事させていただけませんか」と。同時に、すでにお使いだった充填機も相当年稼働されていたので、更新のご提案もさせていただいていました。

藤井様(やまと蜂蜜):  一時は、既存充填機からTOPPANさんの充填機に切り替えを進め、導入の一歩手前まで進んでいました。しかし先代が「判断がつかない」と導入を見送り、一旦計画が頓挫することとなりました。その後、機械は他社製を使い続けながらも、一部商品においては、TOPPANさんの紙パックを使わせていただくという形で、 お付き合いが続いていきました。

しかし、ここからがTOPPANさんの素晴らしいところです。我々のような小規模な取引先にもかかわらず、大橋さんをはじめとする担当の方々が、十数年にわたり、担当の方が入れ替わりながらも足繁く通い続けてくださり、充填機の状況を常に気にかけてくださいました。建材の紹介からEC販促支援まで、数々のご提案をいただき、我々が環境配慮という社会的な流れの中で、「EP-PAK」というパッケージに商機を見出すまで、根気強く関係を繋ぎ続けてくださったんです。

大橋(TOPPAN): 私としては副社長のお人柄に惚れ込んでいたこともありますし、やまと蜂蜜様は本当に良い会社だと思っていました。そして何より、TOPPANの営業としても、お使いだった他社の充填機に代わって当社のものを使っていただきたい、という想いもありました。先代から若い社長へと代わられたタイミングで、様々なことへのチャレンジもされ始めていたので、改めてこちらから提案をさせていただいたんです。

そして、石田さんが現在の営業担当として引き継がれているということですね。

石田(TOPPAN): はい。私は現在、やまと蜂蜜様の営業担当として、社内外の様々なお客様との橋渡し役を担っています。「こんな充填ができるところはないか」というお客様からの相談があれば、「やまと蜂蜜様ならできます」とご紹介するなど、企業間のマッチングを創出することで、やまと蜂蜜様の充填事業を一緒に拡大するお手伝いをさせていただいています。




導入後の成果と「EP-PAK」が拓く新たな市場

十数年越しの想いが実り、2024年1月から新しい充填機が稼働しました。実際に導入されてみて、どのようなメリットを感じていますか。

藤井様(やまと蜂蜜): 何よりお引き合いの数が圧倒的に増えました。これまで当社は、食品パッケージの中でもニッチな領域であるポーション容器を主戦場としてきましたが、母数の全く異なるメジャーな紙製容器の市場に参入したことで、その影響は非常に大きなものとなりました。「ポーションで培った技術を活かし、小ロットから対応できます」とPRしたところ、多くのお客様に関心を持っていただきました。TOPPANさんからも「こういう案件があるのですが」とお声がけをいただく機会が格段に増え、商談のテーブルに乗る案件数が大きく変化したことを実感しています。バッターボックスに立つ回数が増えたことで、事業が大きく花開いていく手応えを強く感じていますね。

紙製容器の中でも、「EP-PAK」ならではの強みはどういった点にあると感じられているのでしょうか。

藤井様(やまと蜂蜜): 我々が長年培ってきた技術との相性の良さも大きな要因です。「EP-PAK」の強みは酸素バリア性に優れており、常温での長期保存が可能な点です。これは当社が主戦場としてきた日配品ではない「加工食品」のジャンルにおいて、ポーション容器で培った技術をそのまま活かせることを意味します。牛乳などを入れる一般的な紙パックでは、当社の小ロット対応や技術力を十分に発揮することが難しいのですが、「EP-PAK」が持つ機能性と、当社の強みが合致したことで、スムーズな技術転用が可能となりました。

大橋(TOPPAN): おっしゃる通り、多様な内容物に対応でき、常温での長期保存が可能な環境配慮型の紙製容器というのが「EP-PAK」のコンセプトです。TOPPANが開発したハイバリアの「GL BARRIER」を積層することで、お客様の「常温で長期保存したい」というニーズに応えています。

また、環境配慮の面では、紙製品としてリサイクルできる廃棄のしやすさも特徴です。平たいシート状で納品し、充填機で容器の形に組み上げるため、ボトルや瓶に比べて輸送時の積載効率が良く、物流コストや在庫スペースの削減にも貢献します。

藤井様(やまと蜂蜜): ボトルの在庫管理は本当に大変です。充填前の状態では、まるで空気を運んでいるようなもので、保管にも膨大なスペースが必要になります。それに比べると、「EP-PAK」は数十万の数量でもハンドリングのしやすさが格段に違うんです。省スペースでの保管が可能なうえ、物流効率も大幅に向上するため、現場の負担軽減にも繋がっています。


「単なる充填拠点」ではない。"仲間"としての共創パートナーシップ

やまと蜂蜜様が「EP-PAK」の充填拠点となったことは、TOPPANにとってどのような意味を持つのでしょうか。

大橋(TOPPAN): 我々にとって、やまと蜂蜜様はお客様である以上に、「共創パートナー」として非常に価値の高い"仲間"だと思っています。環境配慮や商品の差別化を望む企業様は多いですが、専用充填機の導入はハードルが高い。その中で、我々はやまと蜂蜜様を委託先としてご紹介することで、お客様の課題を一緒に解決できる。それが非常に大きな意義だと感じています。やまと蜂蜜様が直接獲得された案件でも「EP-PAK」を使っていただけますし、我々がご紹介した案件でお客様の課題が解決するうえに、「EP-PAK」も売れる。そして、やまと蜂蜜様の充填機の稼働率も上がる。Win-Win-Winの関係が築けていると感じます。

藤井様(やまと蜂蜜): 当社ではすでに「目指せ2台目導入」を合言葉にするほど、「EP-PAK」の導入効果を強く実感しています。大橋さんがおっしゃるように、「EP-PAK」の自社充填はポーションパックと同様に、他社が容易に真似できない高い参入障壁があります。さらに、当社は小ロット対応にも強みを持っているため、まずはOEMで様々な商品を試していただけると嬉しいですね。

今後、お互いのパートナーシップを通じて、どのようなことに挑戦していきたいですか。

藤井様(やまと蜂蜜): 現在、TOPPANさんには、我々が対応しきれない難しい案件に対しても、機械の改造を含めた検討を一緒に進めていただいています。今後は、これまで困難とされていたゴマなどの固形物を含む調味料の充填にも挑戦していきたいと考えています。さらにその先には、洗浄方法が全く異なる「油」の充填という究極的なチャレンジも見据えています。油と他の調味料、飲料、アルコールを一つのラインで扱えるようになれば、当社は「なんでも屋」として、さらに強みを発揮できると感じています。

また、パッケージ自体が人や環境に優しいからこそ、赤ちゃんの離乳食から介護食まで、人生の流れに寄り添った商品の充填にも取り組んでいきたいと考えています。特に流動食などを扱う福祉分野では、当社の技術が大きく貢献できると確信しています。

最後に、改めてお互いをどのような存在だと見ていらっしゃるか、お聞かせください。

藤井様(やまと蜂蜜): TOPPANさんは「人の会社」という印象を強く持っています。大手でありながら、人との関わり方を非常に大切にされている姿勢に、いつも感銘を受けています。当社も「『ひと』と『ものづくり』の価値創造」を掲げている以上、TOPPANさんと共に価値を創り上げていくことで少しでも恩返しができればと思っています。TOPPANさんにとって価値のある存在であり続けられるよう、これからも誠実に取り組んでいきたいと考えています。

石田(TOPPAN): やまと蜂蜜様の何事にもチャレンジされる姿勢が素晴らしいです。課題があっても諦めず、一緒に考えていただける。副社長は製造と製品の両方を深く理解されているので、これからも一緒にいろいろなことに挑戦させていただけたら嬉しいです。

藤井様(やまと蜂蜜): 蜂が花から花へ飛び交い、蜜と花粉を集めて生業を立てるように、我々「やまと蜂蜜」もサプライヤー様とお客様との縁を繋ぎながら、生業を築いてきました。花を選り好みしない蜂のように、誰かの役に立てるのであればどんなことにもチャレンジしたい。その姿勢こそが、液体充填事業へと舵を切った今でも「やまと蜂蜜」という社名を掲げ続けていることにも繋がっているのかもしれません。最近では、同業者から「蜂の餌を詰めてほしい」という依頼もいただくようになりました。加工食品の枠を超え、人間以外の分野にも広がる可能性を感じています。「EP-PAK」というパッケージには、まだまだ多くの可能性が秘められていると確信しています。

TOPPANはパッケージに関する、
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