コラム Columns

日本シーム株式会社様 インタビュー

子どもたちにリサイクルの重要性を伝えるために ——日本シームと実現した体験型の学びの場

日本シーム様_対談写真_メイン

「捨てる」から「創る」体験で伝える、パッケージリサイクルの価値

2025年10月18日・19日に、イトーヨーカドー大森店で「大田区ナナハト学校(8時限目)」というイベントが開催されました。これは大田区、民間企業・団体、学術機関による公民連携イベントで、主に小学生を対象にさまざまな企業などが、ワークショップや体験授業を展開するものです。
今回は、同イベントにおいて、体験型リサイクルワークショップで協業した日本シーム様とTOPPANの担当者に、体験型授業を実施することで得られた価値を伺いました。

<インタビュイー>
日本シーム株式会社
鈴木 健太 様(SDGs部)

TOPPAN株式会社
瀧澤 博子(企画担当)

本来捨てられるものが、形を変え新たな価値へと生まれ変わる。子どもたちの記憶に宿る学びを届ける、異業種連携の新しいかたち。

TOPPANを含む4社で共同実証している冷凍食品包装リサイクルプロジェクトの概要と、今回の「大田区ナナハト学校(8時限目)」における体験型リサイクルイベントを実施した背景をお聞かせください。

日本シーム様_対談写真_1 瀧澤(TOPPAN): 2024年10月からニチレイフーズさん、アミタさん、イトーヨーカ堂さん、TOPPANの4社で連携し、イトーヨーカドー大森店にて冷凍食品包装(フィルム)をリサイクルする実証実験を続けてきました。これは、使用済みの冷凍食品包装を生活者から回収し、同じ用途の製品へと再生する「水平リサイクル」に向けた技術を実証するプロジェクトです。同時に、生活者との最適なコミュニケーション手法や、効率的な回収スキームの検証も行っています。 今回はイトーヨーカドー大森店で実施された「大田区ナナハト学校(8時限目)」というイベントに参加し、小学生と保護者の方をメインターゲットとしてプロジェクトの認知向上や冷凍食品包装の回収量増加、適切な排出の促進を目的に、ワークショップとスタンプラリーという2つのコンテンツを行いました。

ワークショップではどのようなことを実施したのでしょうか。

瀧澤(TOPPAN): リサイクルの重要性を伝える授業を行ったあとに、射出成形機を使ったリサイクルを体験してもらうワークショップを実施しました。授業では「パッケージのリサイクル」をテーマに、パッケージがどの程度資源として回収されているかをクイズ形式で紹介しながら、リサイクルされるまでの工程についてお話ししました。
また、冷凍食品包装リサイクルプロジェクトの取り組みとして、冷凍食品包装の適切な分別方法もご紹介しました。冷凍食品包装には内側が白いものとアルミのキラキラしたものの2種類があること、この2種類は分別して回収BOXに入れる必要があること、また付属のトレーは一緒に出さないこと、そして排出前にはきれいに洗って乾かしてからにしていただきたいことをお伝えしました。
その後のリサイクル体験では、実際に冷凍食品包装を洗浄・粉砕して再生した材料を100%用いて、射出成形でコマにリサイクルする工程を子どもたちに体験してもらいました。プラスチックリサイクル装置メーカーであり、こうしたリサイクル体験イベントを各地で実施している日本シームさんと連携して実施しました。

日本シームさんとの協業のきっかけはどういったものでしたか?

瀧澤(TOPPAN): 日刊工業新聞社が実施している「読者が選ぶネーミング大賞」の授賞式でお会いしたのが最初の出会いでしたね。TOPPANはサステナブルブランド「SMARTS™(スマーツ)」 で、日本シームさんは研究開発施設「MIRAI Labo」でお互いにスタイリッシュネーミング賞という同じ賞を受賞していて。その縁で「MIRAI Labo」に訪問した際に、生活者向けのイベントを多数実施されていることを伺い、リサイクルの啓蒙活動に取り組む企業姿勢に共感し、お声がけさせていただきました。

日本シーム様_対談写真_2 鈴木様(日本シーム): お話をいただきうれしかったです。当社ではこれまで、ペットボトルキャップを活用して「洗浄・粉砕→射出成形」に至るリサイクル体験を通じて、「素材が形を変えて再び価値を持つ瞬間」を伝える取り組みを行ってきました。今回の冷凍食品包装という素材は今まで扱ったことがなかったので難しいチャレンジでしたが、だからこそあえて子どもたちの前で形にし、驚きを提供したいという思いがありましたね。

どういった点が難しいチャレンジだったのでしょうか。

鈴木様(日本シーム): プラスチックによって溶け出す温度が異なるので、軟包装に使用されている素材の種類が分からない場合、成形できるか分からず、扱うのが難しいという課題がありました。ただ、今回はTOPPANさんから事前にどういう構成の素材かは伺っていたので実際には難なく再成形することができましたし、いつものペットボトルキャップと比べて思ったより木目調に見える素材だったのも面白かったです。

今回、「体験型」のイベントにした理由を教えてください。

瀧澤(TOPPAN): リサイクルの重要性は、一方的な授業だけではなかなか伝わらないと考えていました。授業で学びを与えつつまずは興味を持ってもらい、好奇心を引き出したうえで自分の手を動かして体験してもらうことで、驚きや「できた」という感覚を提供したいと思いました。やはり、直接目で見て、手で触れて、いろいろな感覚で楽しんでもらう体験から納得感が生まれてくるのかなと。また、今回は作ったコマを持ち帰ってもらいましたが、日常生活の中でリサイクルを身近に感じてもらうきっかけにもなったのではないかと思っています。

日本シーム様_対談写真_3 鈴木様(日本シーム):  私たちは近隣の小学校でもよくリサイクル体験を実施しているのですが、実際に手を動かして学ぶことによる理解の深さや記憶の残り方は凄まじいものだと実感しています。何回か同じ学校に足を運ぶこともあり、行くたびに「お母さんが燃えるゴミにキャップを入れてたけど僕が回収して分別したよ」とかレスポンスがあるんです。リサイクルが面倒くさいものではなく1つの楽しみになってくれて、自然に取り組めるようになるのはうれしいことです。

体験ワークショップで、安全性への配慮や工夫した点を教えてください。

鈴木様(日本シーム): 射出成形機は熱源を使う機械なので、熱源に触れても火傷しない構造にするとともに、操作工程のほとんどを大人が担うよう役割分担を明確にしながら、子どもたち自身が製作に関わっていると実感できるよう工夫しました。 また、コマの形に成形された完成品も出来立てだと100℃くらいになっているので、一回水に入れて冷やし、時間を置いてから紙コップに入れてお渡しするようにしていましたね。

瀧澤(TOPPAN):  あとは、型のつなぎ目のところがピッと飛び出たりしていることがあるので、そこはヤスリで削ってきれいにするようにしていましたよね。事前にTOPPAN社内の品質保証を行う部署にアドバイスをもらい、飲み込めないサイズかどうかなども検証しました。必ず保護者同伴で参加いただくよう整理券に明記するなど、安全性への配慮は徹底していましたね。お子さんたちに楽しんでもらうための工夫で言うと、鈴木さんをはじめ日本シームの皆さんは関わり方がとっても上手なんです。

日本シーム様_対談写真_4 鈴木様(日本シーム): 射出成形機を開いて完成したコマを見せるときに、一番子どもたちがワクワクする見せ方がありまして(笑)。一度子どもと目を合わせてからバッと開けるっていう古典的な方法なんですけどね。成形された製品を手に取ったお子さんが「これ、本当にゴミだったの?」と驚いた表情を見せてくれたことが現場で最も印象に残っています。

瀧澤(TOPPAN): そうした体験の見せ方もすごく重要だなと勉強になりました。

鈴木様(日本シーム):  場数を踏んでいる甲斐がありました(笑)。

実際にイベントの成果や参加者の反応はいかがでしたか。

瀧澤(TOPPAN): 授業では、クイズを実施した際にお子さんがすごく手を挙げて答えてくれたり、「これ分別して出している人いますか?」と問いかけると、お子さんではなく保護者の方から反応があったり、双方向的に実施できたこともあり反応がよかったかなと思います。またリサイクル体験はやはり参加者の方のリアクションがとてもよかったです。 アンケート等では参加者からリサイクルにもっと前向きに参加したいという声をいただき、気づきや好奇心をしっかり引き出せたと感じています。ただ、実際の行動変容には生活者との継続的な関わりが必要だとも認識しており、今後もこうした取り組みを続けていくことが大事だと思います。

 異業種連携での取り組みとなりましたが、その価値についてどう感じていますか。

瀧澤(TOPPAN):  日本シームさんと協業することで、当社単独ではできなかった授業や体験を生活者に提供できたと明確に感じています。さまざまな業種の視点でリサイクルを捉えて伝えることができるのが異業種連携の価値だと思っていますし、これからもこうした仲間を増やしながらリサイクルなどのサステナビリティを伝える体験コンテンツを拡げていきたいです。

鈴木様(日本シーム):  パッケージメーカーのTOPPANさんとプラスチックリサイクル装置メーカーの当社だからこそ、素材の入口から出口まで一気通貫で取り組むことができて、今までにない面白いコンテンツになりました。

 体験型の啓発活動を持続可能なものにするために、今後必要な仕組みや展望をお聞かせください。

鈴木様(日本シーム): こうした啓発活動は、企業だけでなく地域や自治体などとの連携が大事だと考えています。今回はTOPPANさんが実施してきたプロジェクトが発端で、場を提供していただいた。そうしたベースがあってこそ私たちの技術も発揮することができるので、今後も連携を強化するとともに、この取り組みを一つのモデルケースとして、他地域や別の機会へと横展開していきたいですね。
モデルケースが普及すれば、他企業や他地域でも真似してくれて、啓発活動がさらに盛り上がり存在感が強まっていくはずです。最終的に資源循環に必要な技術や設備の重要性が社会に認識されることが理想で、サステナビリティの発信と企業価値の向上を同時に実現したいと思っています。

瀧澤(TOPPAN): 生活者の中には、環境配慮型の商品に関心はあるものの、実際にどれを選べばよいか分からず行動に移せない人が多いと感じています。パッケージや店頭で分かりやすく伝えるための工夫を行うことと、こうしたイベントでその意義を発信し続けることで、生活者の行動変容を促すことに挑戦したいです。こうした取り組みが、私たちの得意先の製品が「社会から選ばれる」土壌を育み、結果として弊社のSX(サステナブルトランスフォーメーション)経営を推進し、企業価値向上に繋がると考えています。
また、単発の啓発イベントで終わるのではなく、一つひとつの場を連動させることが重要だと思います。今回のような「学びの機会」と「資源循環の仕組み」、そして実際にイトーヨーカドー大森店で実施している冷凍食品包装の店頭回収といった「アクションする場」を有機的に繋げていくイメージです。
生活者の方が楽しみながら、日常生活で無理なく参加できる土壌をどんどん拡大していくことで、学びと行動が日常生活の中に定着していく未来を目指しています。

TOPPANはパッケージに関する、
さまざまな課題にお応えします。
お気軽にご相談ください。

お問い合わせ
関連事業
関連会社
トップ戻る