新機能パッケージ「チューブなパウチ®」を採用した日新蜂蜜の新商品「ぴたハニー」。蜂蜜業界初となる環境配慮と使いやすさの両立を実現したことで注目を浴びています。味や品質で差別化しにくい蜂蜜商品において、新たな価値を創出するに至った開発背景や制作過程について、日新蜂蜜株式会社とTOPPAN担当者に話をお聞きしました
<インタビュイー>
日新蜂蜜株式会社
上田昌宏 様(営業部)
棚橋祐斗 様(開発企画部)
TOPPAN株式会社
長谷川野乃 (営業担当)
SDGsを指針に、蜂蜜メーカーが描く新たなモノづくり
まずは日新蜂蜜さまの事業内容とSDGsへの取り組みについて伺えますか。
棚橋様(日新蜂蜜): 当社は蜂蜜製品の製造販売を主軸に、業務用から家庭用品まで幅広い商品を展開しています。近年では単に品質のいい製品を届けるだけでなく、環境や社会に配慮したモノづくりが求められていると感じており、そのなかでSDGsの考え方を重要な指針として重視してきました。2024年には「ぎふSDGs推進シルバーパートナー」にも登録され、環境配慮への取り組みが評価されています。
新商品「ぴたハニー」を開発することになった背景や、解決したかった課題をお聞かせください。
棚橋様(日新蜂蜜): 従来の蜂蜜製品はプラスチックボトルが主流ですが、液垂れが止まりにくいことによる使いづらさや、固い容器のため最後まで絞って使い切りにくいこと、使用後の廃棄による環境負荷という課題がありました。消費者からもベタつくとかたれてしまうという声をいただいており、これらを解決したいという思いが開発の出発点になりました。
蜂蜜業界の「当たり前」を問い直す——開発の出発点
その中で、TOPPANの新機能パッケージ「チューブなパウチ®」を採用した経緯は?
棚橋様(日新蜂蜜): 新商品に適したエコ容器を探している際にTOPPANさんからお声がけいただき、「チューブなパウチ®」を提案いただいたのがきっかけでした。今までにない蜂蜜容器という点でとても面白く、また環境配慮につながるという可能性にも魅力を感じました。最終的な決め手としては、プラスチック削減と使いやすさの両立ができる点で採用に至りました。
改めて、「チューブなパウチ®」とはどのようなパッケージなのでしょうか?
長谷川(TOPPAN): 「チューブなパウチ®」は、従来のラミネートチューブ容器よりも胴体フィルムの厚みが薄いのが特徴です。また、抽出口のパーツを独自開発の形状にすることで、内容物を軽い力で絞りやすく、高齢者やお子様でも最後まで使い切りやすい構造になっています。加えて、胴体フィルムの厚みを薄くしたことで、従来のラミネートチューブと比較してプラスチック樹脂の使用量を30%以上削減しているのもポイントです。
上田様(日新蜂蜜): 棚橋と二人でさまざまな容器の展示会へ足を運んだのですが、「チューブなパウチ®」に出会ったときは「これだ!」と思いましたね。そもそも蜂蜜製品は中身が自然のものなので、商品としては他社メーカーさんと差別化がしづらいのです。そうした中で、エコ容器の商品を開発することは業界初でもあり、新しい切り口になると思っていました。普段お取引しているスーパーや百貨店といった小売業者さんにも、環境に配慮した商品をそろえたコーナーを配置しているお店があります。これも他店との差別化や消費者の要望に応えた取り組みですが、当社の商品もこうした世の中の流れに呼応できればと思っていました。
何度もの試作の末にたどり着いた「垂れない蜂蜜」
「ぴたハニー」の開発過程で、最も苦労した点はどこですか。また、どうやって解決しましたか。
棚橋様(日新蜂蜜): 「チューブなパウチ®」に従来の蜂蜜製品を入れると、液垂れが起きやすく、使用後のベタつきが課題になりました。そこで、寒天をごく少量加えて、蜂蜜本来の味わいはそのまま残しつつ、垂れにくい状態を実現しました。どの寒天をどのくらいの量加えるか、という調整に時間がかかりましたが、容器の構造と擦り合わせながら試作や検証を何度も繰り返して最適解を見つけていきました。
長谷川(TOPPAN): 「チューブなパウチ®」自体は私が所属している中部事業部では初めての採用だったで、どう商品化に向けて進んでいけばいいか最初は手探りの面がありました。設計や入稿の仕方を試行錯誤しながら進めていきましたね。
棚橋様(日新蜂蜜): もう一つ苦労した点は、「ぴたハニー」専用の充填機を導入する過程です。環境配慮を目的に、賞味期限の印字に関して通常のインクジェットではなく、UVレーザーを採用しており、こうした設備に関してはTOPPANさんと一緒に相談しながら作っていきました。
商品開発において、最も力を入れた点やこだわったポイントも教えてください。
棚橋様(日新蜂蜜): デザインにはとてもこだわりましたね。主婦層やファミリー層向けの商品になるので、日常に馴染む使いやすさと、食卓に置きたくなるような柔らかく親しみやすいデザインに仕上げました。
長谷川(TOPPAN): 通常のプラスチックボトルやラミネートチューブよりも薄い「チューブなパウチ®」を採用するということで、いかにパッと見て蜂蜜だと思ってもらえるデザインにするかを考えていました。具体的にはイラストで水彩っぽいお花を施し、環境にやさしい点をアピールするためにナチュラルなイメージに仕上げていきました。
上田様(日新蜂蜜): 今回、加工品ということもあってお店によってはトーストに塗るスプレッドタイプのジャムなどと一緒に並べられてしまうことを懸念していました。しかし当社としては従来の蜂蜜の棚に並べていただきたかったので、蜂蜜を塗ったトーストのイラストを入れることによって蜂蜜感をアピールしています。本商品の特徴である「トーストに塗っても垂れない」という点も伝えられればと思いました。商品名からも特徴が伝わるように、「ぴたハニー」という名称を採用しています。
2026年春から順次店頭に並び始めている本商品ですが、反響はいかがでしょうか。
上田様(日新蜂蜜): 展示会に出展するなかで実際に試食を実施したり、チューブの説明をさせてもらったりしましたが、新しい取り組みとして受け入れていただいています。小売店の方も、蜂蜜の中身で差別化ができないがゆえにメーカー違いの商品を並べている実感があるなかで、エコに特化している点を評価いただいていますね。今後も、最後まで使い切りやすく食品ロスに配慮した点や、パンやフルーツなどに塗っても垂れにくい点などをアピールしていきたいです。
今後の製品展開やお互いのパートナーシップについてお聞かせください。
棚橋様(日新蜂蜜): 「ぴたハニー」関連では、今後フレーバーを変えたチョコレートハニーや蜂蜜レモンなど、この容器に合う形で商品を横展開していけたらと思っています。シリーズ化することで、売り場での存在感を高めたいです。また、今回は80gという少量の商品を開発しましたが、当社の商品には150gや250gといったラインナップもあるので、そうした中容量の商品も展開したいところです。容器のさらなる活用について、TOPPANさんにも期待しています。
長谷川(TOPPAN): 今回は寒天入りの蜂蜜ということで商品化しましたが、通常の蜂蜜でも「チューブなパウチ®」を使用できるように、逆止弁付きのものを開発できればと思っています。中容量の容器も含め、まだまだ「チューブなパウチ®」で実現できてない領域がありますが、そこは今後の可能性に転換して開発を進めていきたいと思っています。