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株式会社ロッテ様インタビュー

ガーナブランドのサステナビリティ強化をご支援

株式会社ロッテ様インタビュー

ブランドに関わる、バリューチェーンすべての関係者を幸せに

株式会社ロッテ様が発売した、カラダにも、地球にも、おいしい「グリーンガーナ」。TOPPANでは、「グリーンガーナ」の再生プラスチックを使用したパッケージ(個包装)を起点に、 「ガーナ」全体のコンセプトづくりから、WEBサイト・生産地支援施策・ロッテ様の営業の皆様向け勉強会動画まで、一貫したSDGsブランディングをサポートさせていただきました。株式会社ロッテ様よりマーケティング本部ガーナブランドご担当の平田様、成田様をお迎えし、TOPPAN営業担当の阿部、企画担当の原、SDGs事業推進室の今津の5名で、サステナビリティブランド誕生の背景や想いについて対談いたしました。
※ロッテ成田様、TOPPAN原はオンラインでの参加となります。


「ガーナ」ブランドだからこそ、今、サステナビリティを追求

阿部(TOPPAN): 「ガーナ」はサステナビリティを起点とした、さまざまな取り組みをされていますが、そのきっかけはどのようなものだったのですか?

平田様(ロッテ): 昨今、SDGsやサステナブルという言葉をすごく聞くようになりました。私たちロッテでも、もともとSDGsに対する取り組みは行っていたのですが、今まで以上に取り組む必要があるとずっと感じていました。一方で、会社として発信してもなかなかお客様に届きづらいのではと考えており、以前からお客様との接点であるブランドや商品に、SDGsやサステナブルの意識を落とし込んで展開することが大事だと、個人的に思っていました。

阿部(TOPPAN): 今年は「ガーナ」ブランドが誕生してから60周年ですよね。

平田様(ロッテ): そうです。ちなみに当社のチョコレート事業も60周年なんですよ。つまりチョコレート事業のスタートが「ガーナ」なのです。そしてやはりロッテの中でも1番長きにわたって愛されているブランドでもあり、1番多くのお客様にご支持いただいているブランドということで、今回のサステナビリティの強化策は「ガーナ」が先陣を切って取り組む必要があると考えました。

阿部(TOPPAN): そこでTOPPANとしては、エシカルニーズに応える「グリーンガーナ」という商品の発売に際し、サステナブルな素材を活用した個包装を提案させていただきました。

「グリーンガーナ」の個包装には、再生プラスチックを使用しています。使用済みのペットボトルをリサイクルしたメカニカルリサイクルPETフィルム(使用済みのペットボトルをリサイクルしたフィルム)を活用することで、新品のプラスチック材料に比べて使用する熱量を大きく削減、CO2の削減にも貢献できます。今回、「ガーナ」のサステナビリティへの取り組みに参加できたことをうれしく思っています。

共通認識の醸成により、バリューチェーン全体でサステナビリティを前進

平田様(ロッテ): 個包装のご提案の際、包装だけじゃなく、「ガーナ」全体のブランディングの話もご提案いただいたのですよね。

阿部(TOPPAN): はい。「グリーンガーナ」の個包装だけでなく、「ガーナ」ブランドの魅力を最大化し、サステナビリティの輪を広げるご支援ができないかと考えました。弊社はパッケージだけでなく企画やプロモーションも手掛けていることから、まずは企画担当の原さんに相談しました。

原(TOPPAN): ロッテ様にヒアリングをする中で、2024年に「ガーナ」が60周年を迎えること、このタイミングで社会貢献活動を強化したいことを伺いました。「ガーナ」はパッケージの環境配慮だけでなく、ガーナの子どもや女性へのサポート活動をしていることから、サステナビリティの文脈でご支援できるのではと思いました。

平田様(ロッテ): 実際、サステナビリティの重要性は理解しているけれど、どう取り組んだらいいのかわからない状況でした。さらにロッテの社内でも部署ごとにサステナブル商品への考え方も異なっていました。そこで、TOPPANさんにサステナビリティへの理解を深めながら担当者同士で共通認識を持つためのディスカッションの機会を作っていただきましたね。

阿部(TOPPAN): 弊社の秋葉原オフィスにお越しいただき、平田様や成田様など「ガーナ」のブランド・マーケティング担当者だけでなく、開発や資材の方にもディスカッションに参加していただきました。ファシリテーターは弊社の今津に依頼しました。今津はサステナビリティコミュニケーションを専門とし、私たち社内メンバーにもSDGs教育やセミナーを実施しているため、真っ先に顔が思い浮かびました。

今津(TOPPAN): 「グリーンガーナ」は、環境、健康に配慮した商品で、サステナビリティと親和性が高い商品です。それであれば、サステナビリティの文脈で、商品やブランドの持つ価値をいま一度見つめ直し、これから先も長く愛され続けるための「ガーナ」ブランド全体の在り方を考える機会を作りました。そしてロッテ様のさまざまな部署の方に来ていただいて、ディスカッションしました。

平田様(ロッテ): そのディスカッションのときの、今津さんの講義内容が大変印象的でした。中でも私が強く感じたことは、SDGsの本質を理解できたことです。国連が定めたSDGsの目標やビジョンを、事例や数字で説明してくださいました。

私には1歳の息子がいますが、彼の未来には私たちの行動が影響すると思います。「今のままなにもしないで、次世代に地球のことは全て任せたなんて言えないよね」という今津さんの言葉にハッとしました。

成田様(ロッテ): 私も参加したのですが、そもそもこの商品のプロモーションを行う際に、SDGsウォッシュにならないようにする必要があると強く感じていました。

※SDGsウォッシュ:実態が伴わないのにSDGsに取り組んでいるように見せかけることを指す。

しかし、SDGsやサステナブルという言葉が先行している中で、具体的な内容を理解するのが難しく、さまざまなセミナーに参加しても完全には理解できない状況でした。それが今回のディスカッションを通して、本質を学ぶことができ、大変勉強になりました。

平田様(ロッテ): もうひとつ勉強になったことがありました。バリューチェーンにおけるロッテの課題や、取り組みについて考えさせられたことです。川上から川下までの流れを分析して、ロッテがどこに価値を提供できるのか、「グリーンガーナ」のプロジェクトがどう影響するのかを教えていただきました。特にパッケージだけでなく、カカオの調達から個包装の廃棄まで、バリューチェーン全体で環境に配慮するという考え方は、とても勉強になりました。

今津(TOPPAN): 「バリューチェーン全体で考える」というテーマは、実はロッテ様だから提案することができました。日本の会社が原材料を輸入する際、商社を介して価格を最優先させた場合、どのような原材料が使用されているのかをメーカー自身が把握できないことがあります。しかし、ロッテ様は「ガーナ」という長い歴史のブランドをお持ちで、生産者からお客様まで、流通を含めて全体を見ることができる製品を提供していらっしゃいますね。

平田様(ロッテ): 実は今津さんから言われて自信になったことがあります。「グリーンガーナ」の商品設計は、この商品が売れれば売れるほど、バリューチェーン全体をプラスにできると言ってくださいました。それを聞いてとてもうれしくなり、その後、迷わずプロジェクトに取り組めました。

今津(TOPPAN): SDGsを念頭に置き、バリューチェーンをしっかりと見て、どこに課題があるのかを特定する、このスキームが既にロッテ様にはあります。この商品が成功すれば、「ガーナ」の生産者からお客様まで、全ての人が幸せになるような循環を作り出せるという確信が私にはありました。

原(TOPPAN): 私にとってチョコレートは幸せな気持ちや、ほっとするような感覚を提供してくれる商品なんです。バリューチェーン全体を通じて、すべての関係者が幸せになれるような取り組みは、チョコレートブランドにとって非常に良いアプローチであると感じました。

製品をただ消費するだけではなく、その製品がどのように作られ、誰が関わっているかを考えることで、より意味のある消費へとつながるのではないでしょうか。

サステナビリティに対する理解から具体的な実践へ

阿部(TOPPAN): ディスカッションにおいて、バリューチェーンでの整理の仕方など改めて可視化したことで、TOPPANとして支援できることがまだたくさんあるように感じました。ロッテ様とともに頑張りたいという気持ちがさらに強くなりましたね。

ところで、サステナブルに対する消費者の意識も高まってきていますが、売上・利益に直結しづらい側面がありますよね。ロッテ様ではビジネスとしてそのような側面をどう捉えていますか?

平田様(ロッテ): この「グリーンガーナ」に関しては、やはり経済的価値以上に社会的価値をいかに上げるか、ということがすごく大事だなと社内では話していました。

それでも私たちは営利企業なので、社内の最終的なコンセンサスを得るために、今津さんにお願いして、ディスカッションでご講義いただいたような内容の動画を撮らせていただきました。それを「グリーンガーナ」に関する社内の説明会で流したところ、ものすごく反響がありました。あの動画のおかげでサステナビリティに対する社内の意識を醸成することができたのです。

成田様(ロッテ): 原さんからは、サステナビリティ視点を踏まえた「ガーナ」ブランドのキャッチコピー、ロゴマーク、LPの素案を提案いただきました。私たちがやりたいことをほぼ完璧に言語化してくださって、修正を依頼することがほとんどなくて、ものすごく印象に残っています。

原(TOPPAN): ありがとうございます。バリューチェーンの背景なども含めて、「ガーナ」ならではの切り口にこだわりました。いかに「ガーナ」ブランドのスタンスを消費者の皆様に伝えられるか、そこに注力しました。

具体的には「ガーナ」のサステナビリティを生活者の皆様に伝えるWEBサイトの作成をご提案し、「ガーナ」のサステナブルな姿勢を伝えるコピーを検討しました。「小さな幸せの代表格であるチョコレート」。幸せが循環・持続することを願い、スマイルマークと無限のサイクルをかけあわせたロゴも開発しました。このロゴには、「思いやり」「熱意」「共創」の3つのカカオが実ることをイメージしています。

「ガーナ」という大看板で取り組んだ重要性と意味

今津(TOPPAN): ロッテ様にとってまさにフラッグシップである「ガーナ」でサステナビリティの取り組みをするというのが、今回のポイントだったと思っています。マイナーな商品と、SDGsやサステナビリティを組み合わせることは多いのですが、企業を代表する商品での取り組みはまだまだ少ないです。だからこそ価値があると思いました。

平田様(ロッテ): 私としては今回の今津さんとのディスカッションに、私たちマーケティング部のスタッフだけでなく、開発や資材など部署を超えて多くの社員が横断的に参加したことに、ものすごく意義を感じています。

「ガーナ」というロッテのメイン商材でのサステナブルの取り組みに、さまざまな部署が一丸となって同じ意識で、同じ目的に向かって進むことができました。おいしくすること、良いパッケージを作ること、商品を売ることだけをゴールにするわけではなくて、その一歩先にある「ガーナ」をサステナブルという視点で消費者に届けるという共通の目的があったことで、ロッテとしての姿勢もはっきりと明確にできたと思います。

成田様(ロッテ): 私もそう思っています。それぞれ役割分担こそあれど、最初の段階で部署間においてすり合わせができたことが、今回のプロジェクトがスムーズにいった要因だと思いますね。

そしてもともとロッテは、ガーナで学校給食の提供や女性の保健活動なども含め、サステナブルな取り組みをしていましたが、うまく発信できていないと感じていました。それが「ガーナ」という看板商品を通じて、幅広い方にアピールできる、絶好の機会だと感じています。

阿部(TOPPAN): 今回、一連の取り組みのひとつとして、チョコレートの製造工程で発生するカカオハスクをアップサイクルしたノート「ReCacao Note」を作成し、ガーナの子どもたちに届ける活動を計画しています。ガーナの方々が大切に育ててくれたカカオの有効活用と、ガーナの子どもたちへの教育環境のサポートになればというおもいで始めたプロジェクトとなります。本年中の配布を目指して、現在準備を進めています。

原(TOPPAN): サステナビリティやSDGsへの取り組みは、これまでは企業の経営部門や広報などの領域のテーマだと思っていたのですが、今回こうやって商品で発信するプロジェクトに参加できたことが、私の中では大変勉強になりました。

お客様との一番の接点である商品で、そういったメッセージを伝えられる……。ロッテ様ならではの影響力の大きさを感じ、またその取り組みに携われたことが、本当にうれしいですし、とても貴重な経験になりました。

平田様(ロッテ): SDGsって言葉だけが先行して、ともすると辟易している人もいるかもしれません。それが、お菓子を食べるだけでいいんだよという提案になった時に、可能性があるなと思っています。

今回の「グリーンガーナ」は食物繊維たっぷりでカラダにうれしく、それが結果的に世の中のためになっているって、とてもいいサイクルだなと。それをすごくライトな入り口としてお菓子が担える、チョコが担える、「ガーナ」が担えるって、ロッテとしても大変光栄なことだと感じますね。

今津(TOPPAN): 私はSDGsの領域に関わってからさまざまな業界の取り組みを見てきていますが、口でいうほど簡単にできることではないんです。本気で取り組まないと、SDGsウォッシュと言われてしまいますし、ましてや浸透などしません。

そしてそのうえで、商品を選ぶ選択肢として「SDGsに配慮されている」ものを選ぶお客様は増えてきている中、「ガーナ」が売れれば売れるほどバリューチェーン全体で「みんなが幸せ」になれれば、とても素晴らしいことだと思います。

平田様(ロッテ): やはり継続してやることが何より大事だなと、今ひしひしと感じています。ロッテが先駆者となって、こういうエシカルな食品のカテゴリーを作っていくぐらいの気概で継続していくことが、すごく重要だと思っています。TOPPANさんのお力添えを今後もいただきながら商品だけじゃなくて、いろんな取り組みを進行していきたいですね。

原(TOPPAN): 今回のプロジェクトは個包装のご提案から始まり、打ち合わせやディスカッションを重ねる中で、サステナブルブランディング全体のお手伝いをさせていただきました。「ガーナ」の魅力を広げていくことができてうれしく思います。

阿部(TOPPAN): 弊社では新たに「SMARTS™(スマーツ)」というサステナブルブランドを掲げ、持続可能な社会の実現に向けたトータルソリューションを展開しています。 パッケージのみならず、環境配慮関連のご依頼も増えていますが、その際には川上から川下までの【商品の一生】を考えるように心掛けています。

企画から製造、プロモーションまで、枠にとらわれない持続可能な取り組みをさらに展開していきたいと思います。

TOPPANはパッケージに関する、
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