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エスビー食品株式会社様インタビュー

パッケージと食品でエシカルをW発信!オーガニック調味料に紙製パウチを採用

エスビー食品株式会社様インタビュー

GL BARRIERと水性フレキソ印刷でオーガニック調味料のポテンシャルを最大化

有機スパイス・ハーブを使用したエスビー食品様の「ORGANIC SPICE」シリーズの「ORGANIC HERB SALT」に、GL BARRIER(TOPPANが開発した世界最高水準のバリア性能を持つ透明バリアフィルムブランド)と水性フレキソ印刷の手法を取り入れた紙製パウチを新たに採用いただきました。紙の質感を生かしたデザインが特徴で、環境負荷低減に貢献する包材として「2023 日本パッケージングコンテスト」の食品包装部門賞を受賞。今回のプロジェクトに携わった白山様(商品開発)、髙松様(商品企画)、遠藤様(パッケージデザイン)をお迎えし、TOPPAN営業担当の加藤が開発の経緯などをお伺いしました。

オーガニック調味料の特性にマッチした新たなパッケージを。紙製容器にかける期待

加藤(TOPPAN): 有機スパイス市場をリードする「ORGANIC SPICE」シリーズの新商品として「ORGANIC HERB SALT」を発売するタイミングに合わせて、「パッケージを紙素材で開発したい」というご要望をいただいたのが、今回の取り組みの始まりでした。この背景にはどのような理由があったのでしょうか。

白山様(エスビー食品): 「ORGANIC SPICE」は2005年から有機JAS認定スパイスのみをラインアップして販売しているシリーズです。65品目中23品目がフェアトレード認証製品であり、オーガニックへのこだわりから、自社のSDGsへの取り組みを象徴するシリーズと言えます。

その中でも、「ORGANIC HERB SALT」は、有機スパイスとハーブを使用した汎用シーズニングをコンセプトとしています。社内からも「オーガニックの新商品なので、環境に配慮した紙の資材を使用したい」という意見があったため、TOPPANさんに相談しました。

TOPPANさんとは、これまでも食品包装でお世話になっており、紙素材やGL BARRIERを含む新しい機能の提案をいただいた実績があります。そのため、良いものを一緒に作れるという信頼感を持っていました。

加藤(TOPPAN): 有機JAS認定スパイスの使用やフェアトレード認証製品など、「ORGANIC SPICE」は特色の際立つシリーズですね。

白山様(エスビー食品): 商品に使用されているスパイスやハーブのほとんどが外国産で、海外の原料供給メーカーに対して、農薬を使用しない栽培管理に取り組んでもらう必要があります。これは、日本の有機JAS認定を受ける農産物の基準を満たすためです。さらに、輸入や袋詰めなど工程ごとに認定基準が存在するため、製造全体において手間がかかります。

また、フェアトレード認証製品の条件を満たすためには、認証を受けた工場や現地企業と連携して原料を輸入し、売上の一定割合を現地の生産者に支払うなど、国際基準に沿った取引を継続する必要があります。これらに加えてトレーサビリティの徹底、原料の原産地表示、環境保全活動への収益の一部寄付など、安全安心・環境面を考慮した取り組みが、このシリーズの特徴と言えます。

理想のパウチに近づくために。デザイン制作は異例ずくめの試行錯誤

加藤(TOPPAN): 今回のプロジェクトの特徴は、内容物が直接触れる一次容器として紙素材を使う点でしたね。周辺環境の湿度の影響を受けないバリア性能を発揮する透明フィルム・GL BARRIERを紙の内側に貼り合わせて中身を保護するとともに、紙との相性が良い水性フレキソ印刷を活用する、といった提案をさせていただきました。

今回、エスビー食品様に採用いただいた水性フレキソ印刷は、当社が製造する食品パッケージとして初めての試みでした。これは、軟包装ジャンルで主流の油性グラビア印刷と比較して、有機溶剤をほとんど使っておらず、インキの乾燥回数も少なくて済むという特徴があります。その結果、CO₂排出量やエネルギー消費量を抑えることが可能であり、環境への影響や人体へのリスクを最小限に抑えることができるという、大きなメリットがあります。

白山様(エスビー食品): 紙は環境への配慮が求められる時代では重要な役割を果たす一方で、空気を通すという難点があります。GL BARRIERの貼り合わせによって水分の蒸散を抑えて、中身を湿気から保護し、香りなど品質を長く保つことが可能になりました。

遠藤様(エスビー食品): 今回、デザインチームも商品開発の初期段階から関わったのですが、パッケージに水性フレキソ印刷を使う提案を聞いたときには、正直驚きました。この印刷方法は業界で一般的に段ボール向けという認識だったので、「うまくいくわけがない」と思って。

また、やり方も従来のプロセスとは全然違いました。印刷前に色の出方を確認できないため、シャドウの濃さ、色の濃さ、野菜に対する光の当て方など複数のパターンに分けて制作した版を使ってテスト印刷を行いました。そして、各テストの中で一番良いパターンを組み合わせて、最終デザインを練り上げました。

加藤(TOPPAN): 遠藤さんには4パターンぐらいの原稿を作成していただき、その中で選定しました。結果的に、約12パターンのテスト印刷を実施し、デザインを固めていきましたね。

遠藤様(エスビー食品): 入稿データは写真を使っているのですが、水性フレキソ印刷では写真のような繊細な色の表現が難しいため、「野菜のツヤ感を含めた繊細な画像を目指すよりも、格好良いデザインイメージを狙うのが適しているのでは」と加藤さんとも打ち合わせました。そのためコントラストや色の付け方を調整しました。

完成した時には「水性フレキソ印刷ってこんなに進化しているんだ」と驚くほどきれいな仕上がりになりましたね。

消費者の心に刺さる紙製パッケージ登場!オーガニック食品の魅力アップにも貢献

白山様(エスビー食品): 紙の包材は触感も見た目も分かりやすく、オーガニック食品と環境に配慮した包材の組み合わせにより、「エコなイメージが結びつきやすくなるな」と実感しました。

髙松様(エスビー食品): 消費者のナチュラル志向の高まりにマッチした包材が実現できたと思っています。弊社でもチャック付きの紙製包材というのは初めてでしたね。

加藤(TOPPAN): チャック付きの包材であれば内容物を個包装する必要がなくなるため、家庭でのごみの量も減らせます。デザイン面ではタイトなスケジュールでやり取りを重ねましたが、充填作業に関しても開発チームの皆様と協力をしながら、綿密に調整をして進めていくことができました。

白山様(エスビー食品): 紙という素材は、厚みがあり表面のすべり具合も他の素材と異なるため、工場の製造ラインでは「袋を開けにくい」「中身の充填が難しい」「機械が袋をキャッチしにくい」といった問題が発生しましたが、何度も検証を重ねました。初めは心配しましたが、順調に進んで良かったです。

加藤(TOPPAN): 完成したパウチは、紙を51%以上配合しており、燃えるごみとして廃棄できる「紙マーク」が表示されています。紙マークやリサイクルマークへの注目度も高まってきていますし、流通の商談段階で、バイヤーが紙パッケージを見ただけで採用が決まったと伺いました。パッケージだけで店舗の棚取りがうまくいくというのは、非常に珍しいことなので、私たちも大変嬉しく思っています。消費者の皆様の反応はいかがでしたか。

髙松様(エスビー食品): 「ORGANIC HERB SALT」が発売されてから1年ほど経ちますが、「パケ買いした」との投稿をSNSでよく目にします。これは、風味だけでなく、パッケージに対しても高い評価をいただいた結果だと思います。

スパイスはキッチンで目につきやすい場所に置かれるケースが多いため、遠藤さんには格好良いデザインを要望した甲斐がありました。

ここ5年ぐらいの間に、消費者が自らの価値観に合う商品を選ぶ傾向が高くなっており、オーガニック系食品の売上がこの流れの中で増加していることを実感しています。

食卓を豊かに彩る新商品が、SDGs推進を具現化するアイテムに

加藤(TOPPAN): 今回のパッケージはエスビー食品様の同じシリーズの中において、フィルムにクラフト調のデザインを印刷した従来のパウチと比べて、プラスチック使用量を約30%削減することができました。また、CO₂排出量も約8%の削減効果が見込める結果が出ており、環境に配慮した包材を世に送り出すことができたと自負しています。

この取り組みが評価され、公益社団法人日本包装技術協会が主催する「2023 日本パッケージングコンテスト」で食品包装部門賞を受賞しました。​さらに、一般社団法人日本印刷産業連合会主催の「第63回2024年ジャパン パッケージング コンペティション」においても洋食品部門賞を受賞しました。新しい包材の取り組みを皆様が受け入れ、実現に至ったことに深く感謝しております。

髙松様(エスビー食品): 企画段階で私たちが理想として描いていた紙のパッケージ案が、素敵な形で実現され、最終的に受賞という栄誉に結び付いたのは、皆さん一丸となって取り組んだ成果だと思います。TOPPANさんや白山、遠藤をはじめとするチームの皆様にも心から感謝しています。

消費者のニーズや価値観の変化に寄り添える商品開発を今後も進めていきたいと思っています。SDGsへの取り組みが注目される時代において、当社の中でオーガニック系商品の重要性はますます高まってきています。 今回の取り組みをきっかけに、今後もTOPPANさんをはじめ皆様と共に新しい提案を進めていきたいです。

TOPPANはパッケージに関する、
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