コラム Columns

マルハニチロ株式会社様/TOPPAN株式会社

廃棄されたその先まで考えたパッケージづくりを——海洋プラスチック問題の現実とTOPPANとしての使命

beachclean

SX推進リーダーが
ビーチクリーンを実践!

 TOPPANは“Digital&Sustainable Transformation(DX&SX)”をキーコンセプトに、ワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーとして、持続可能な社会の実現を目指しています。2023年より、クライアントに対してSXに関する提案を率先して行うことのできる人財育成を目的として「SX推進リーダー」を選出。2023年の1期生5人に続き、2024年も新たに5人の営業がSX推進リーダー2期生としての活動をスタートさせました。
 
その活動の一環として、2024年10月、海洋プラスチック問題と向き合うことをテーマに、水産物、加工食品などを扱う総合食品企業・マルハニチロ株式会社様との共同開催にて、SX推進リーダー1期生・2期生共にビーチクリーンを実施しました。マルハニチロ株式会社様は長年、クリーンアップ活動「Make Sea Happy!」を実施されています。今回は、「Make Sea Happy! with TOPPAN」として、2社合同で企画を行いました。
 
回収したごみのデータは、国際的なNGO 団体のデータベースに提出後、世界各地で実施されているクリーンアップ活動のデータとともに、ごみ調査データとして活用されています。
 
TOPPANのSX推進リーダーたちは、パッケージの製造に携わる者として海ごみの現状を体感し、海洋プラスチック問題を自分事化、自身や事業を通じて課題解決のきっかけとするために、ビーチクリーン活動への参加を決めました。私たちTOPPANは、環境問題においては、知識を蓄えるだけでなく、自らが体験することも重要だと捉えています。今回の活動を経て、SX推進リーダーたちはどのような学びを得ることができたのか。改めて振り返ってもらいました。
 

意識して初めて気づいたビーチのごみの実態

 ビーチクリーン活動に参加する前の活動へのイメージや、実際に海岸を見た時の印象について、教えてください。

小川亜紗美(以下、小川): 私自身、普段海の近くに住んでいないこともあってか、正直なところ、「ビーチクリーン」という言葉自体、日常的に耳にするワードではありませんでした。

小河加奈(以下、小河): 私は海にあるごみを定期的に掃除して、「きれいな海をキープする」ことがビーチクリーン活動だと捉えていました。アルミ缶やペットボトルといった少し大きめのごみが散乱している様子をイメージしていましたが、実際は大きなごみばかりではなく、小さなプラスチック片といったごみが散見されて、清掃の大変さを感じました。

大きなごみが劣化して小さくなることで、隙間に入り込んで回収しにくくなっている現状がありました。

大きなごみが劣化して小さくなることで、隙間に入り込んで回収しにくくなっている現状がありました。

大嶋孝明(以下、大嶋): 確かに、漠然としたイメージしか持っていなかったかもしれません。ビーチクリーン=良い取り組み、という程度の印象で、実際に活動に参加するのは初めてでした。普段、海に行く際はごみに注目することは少ないので、改めて意識して地面を見てみるとこんなにもごみがあるのかと驚きましたね。 

相田耕作(以下、相田): 私も初めての参加だったので、どんな漂着物が海岸に流れてきているのかは興味がありました。ペットボトルのフタなど、想定できていたごみだけでなく、プラスチックの破片が大量に落ちている光景には衝撃を受けました。

漂流物の隙間にもプラスチック片が入り込んでおり、手作業で取り除いていきました。

漂流物の隙間にもプラスチック片が入り込んでおり、手作業で取り除いていきました。

鷲尾将也(以下、鷲尾): 実は、清掃中に私が担当している商品のごみも見つけしまって……。そのときはとても悲しくなりました。同時に、このごみがどこから流れ着いたのか、ということも気になりました。自分の担当した商品が利用されたあとにどのように廃棄されているのか、ということを改めて考えさせられましたね。

小さなプラスチック片も積もれば膨大なごみになる

—今回のビーチクリーン活動で回収したごみを集計したところ、総計2333個中、1109個がプラスチック片と半数近くを占め、続いて分類できないプラスチックごみが535個、ペットボトルキャップが180個、食品包装が166個と続きました。これらのごみと直面してどう感じましたか?

川﨑雄大(以下、川﨑): 発泡スチロールやプラスチックフィルムの破片など、想像よりも小さなものが多かったという印象があります。また、海岸で捨てられたと思われるごみではなく、海流に乗って流れ着いたと思われるごみもあり、そういうものの積み重ねで海洋プラスチックごみ問題が発生している現実を、身をもって理解することができました。

松本幸隼(以下、松本): 遠くから海岸を見ると、ごみが落ちているようには感じなかったのですが、近づいてみると細かなプラスチック片や当社で製造しているようなパッケージのごみがたくさんあることに気づいてショックを受けました。それが積もりに積もって、膨大な量になるのだと実感しました。

大嶋: プラスチック製の何かが割れたり、欠けたりした小さな破片が多かったですよね。そうした小さいごみは拾うのも大変で、もしもそのまま放置されて、破片がさらに小さくなってしまったら、今度は見つけることも困難になるだろうと思います。正規の回収ルート以外の場所にいかにごみを流出させないかが、非常に重要と感じました。

相田: たとえば青やピンクなど、色がついていてプラスチックだとすぐに分別できるものはいいのですが、白色の破片などは貝殻なのか、プラスチックなのか、見分けるのも大変でした。

一見すると、貝殻の破片のように見えるもののなかにもプラスチック片が。手に取りながら確認し、拾い集めていくのは途方に暮れるような作業でした。

一見すると、貝殻の破片のように見えるもののなかにもプラスチック片が。手に取りながら確認し、拾い集めていくのは途方に暮れるような作業でした。

廃棄されたその先まで考えたパッケージづくりを

—ビーチクリーン活動に参加したことで、自身の行動や考えの変化、また今後の仕事に活かせる気づきなどはありましたか?

小河: 実際にごみとなっているパッケージを目の当たりにし、リサイクルの大切さを知りました。大きなごみのうちに回収、リサイクル、廃棄をして、まずは小さなごみを出さないことが大切なのだと感じています。

集められた多くのごみは小さな破片ばかり。私たちが製造しているパッケージのあり方を見つめ直すきっかけになりました。

集められた多くのごみは小さな破片ばかり。私たちが製造しているパッケージのあり方を見つめ直すきっかけになりました。

松本: 私もごみの分別が非常に大事だということを痛感しましたね。また、得意先のサステナブルチームと商談する際に、今回のビーチクリーン活動のことを自分の実体験として積極的に話ができるようになりました。ビーチクリーンの取り組みの話をすることで、得意先もこの活動自体に意欲を示してくださったり、ほかの方法も含めてサステナブルに関する取り組みに興味をもっていただける可能性があるのではないかと感じています。

鷲尾: 今後は単純なパッケージの営業ではなく、自分の体験を交えることで環境に配慮したパッケージの提案を増やしていきたいですね。また、海岸でも一見するとごみが見えないように、普段目にしていても気づかない、あるいは気づかないふりをしていることもたくさんあると思います。なので、毎日の生活でも観察眼を磨いていきたいな、と感じました。

小川: 自分たちが製造するパッケージが環境に少なからず悪影響を与えている事実を知って、悲しい気持ちにもなりました。ただ、これは切っても切り離せない課題でもあるので、ひとつでも多くのパッケージを捨てられにくい、もし捨てられても影響の少ない、環境に配慮された素材へと変えていく義務があると、改めて思いました。

川﨑: 今回のビーチクリーンで、自分たちのつくる製品と地球環境との関係を痛感しましたね。ただパッケージをつくるだけでなく、その後の回収やリサイクルスキームまで確立する。プラスチック製パッケージをつくる者として、そこまでがTOPPANに求められている役割なのだと、改めて襟元を正すきっかけになりました。

ビーチクリーン活動を終えた当日、参加者からは「拾う人よりも捨てる人のほうが多い現実を改めて知って、気づけば帰り際もごみ拾いをしていました」「回収後に顔を上げると綺麗な海が広がっていて、この海を守りたいという実感がわいた」といった声も上がっていました。

ビーチクリーンへの参加によって、意識が大きく変わったSX推進リーダーたち。この経験をもとに、より環境への負荷を考えた製品づくりを皆様と共に行っていきたいと考えています。

ビーチクリーンへの参加によって、意識が大きく変わったSX推進リーダーたち。この経験をもとに、より環境への負荷を考えた製品づくりを皆様と共に行っていきたいと考えています。

お客さまの声

マルハニチロ株式会社様

海に深く関わっているマルハニチログループにとって、「海洋プラスチック問題への対応」は重要な課題と捉えています。私たちが長年実施してきた「Make Sea Happy!」は、海洋プラスチック問題に関心を持つ人々の輪を広げることを目的として、ごみの分類・集計を行うクリーンアップ活動として実施しています。今回、本取り組みを社外に広める良い機会であると考え、パッケージでお世話になっているTOPPAN様と共同で開催できたことは非常に有意義であったと感じております。実際にクリーンアップ活動を体験することで、改めて海洋プラスチック問題を意識することができます。TOPPAN様がサステナブルなパッケージを今後も創出していくことを期待しております。
 
<参加者のコメント>
今回の活動を終えて、参加されたSX推進リーダーの皆さんから、TOPPAN様が製造したパッケージがあり悲しい思いをされたとのコメントがありました。しかし、食品メーカーの我々としては、パッケージ等の包装・容器がなければ、せっかくつくったおいしい商品をお客様のもとにお届けすることができません。TOPPAN様で働く皆さんの仕事があるからこそ、私たちの仕事が成り立っているのだと思っています。
そして我々メーカーもまた、その自覚をもっと高めたいところです。包装・容器は、ちゃんとリサイクルに回すことができれば、ごみではなく資源なのですから、これからも分別やリサイクル、クリーンアップ活動に取り組む仲間の輪を広げていけたらいいのかなと感じております。
 

TOPPANのSX推進リーダーたちにとって、海洋ごみやマイクロプラスチックといった環境問題を自分事として改めて考える契機となりました。今後もサステナビリティへの意識を高めていくための活動を続けてきます。合わせて、TOPPANではパッケージを起点としたサステナブルブランド「SMARTS™」を立ち上げ、持続可能な社会の実現を目指すステークホルダーの皆様に沿った多彩なソリューションを提供しています。今後もパッケージの製造にとどまらず、川上から川下までのご支援に取り組んでまいります。

TOPPANはパッケージに関する、
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