意識して初めて気づいたビーチのごみの実態
—ビーチクリーン活動に参加する前の活動へのイメージや、実際に海岸を見た時の印象について、教えてください。
小川亜紗美(以下、小川): 私自身、普段海の近くに住んでいないこともあってか、正直なところ、「ビーチクリーン」という言葉自体、日常的に耳にするワードではありませんでした。
小河加奈(以下、小河): 私は海にあるごみを定期的に掃除して、「きれいな海をキープする」ことがビーチクリーン活動だと捉えていました。アルミ缶やペットボトルといった少し大きめのごみが散乱している様子をイメージしていましたが、実際は大きなごみばかりではなく、小さなプラスチック片といったごみが散見されて、清掃の大変さを感じました。
大嶋孝明(以下、大嶋): 確かに、漠然としたイメージしか持っていなかったかもしれません。ビーチクリーン=良い取り組み、という程度の印象で、実際に活動に参加するのは初めてでした。普段、海に行く際はごみに注目することは少ないので、改めて意識して地面を見てみるとこんなにもごみがあるのかと驚きましたね。
相田耕作(以下、相田): 私も初めての参加だったので、どんな漂着物が海岸に流れてきているのかは興味がありました。ペットボトルのフタなど、想定できていたごみだけでなく、プラスチックの破片が大量に落ちている光景には衝撃を受けました。
鷲尾将也(以下、鷲尾): 実は、清掃中に私が担当している商品のごみも見つけしまって……。そのときはとても悲しくなりました。同時に、このごみがどこから流れ着いたのか、ということも気になりました。自分の担当した商品が利用されたあとにどのように廃棄されているのか、ということを改めて考えさせられましたね。
小さなプラスチック片も積もれば膨大なごみになる
—今回のビーチクリーン活動で回収したごみを集計したところ、総計2333個中、1109個がプラスチック片と半数近くを占め、続いて分類できないプラスチックごみが535個、ペットボトルキャップが180個、食品包装が166個と続きました。これらのごみと直面してどう感じましたか?
川﨑雄大(以下、川﨑): 発泡スチロールやプラスチックフィルムの破片など、想像よりも小さなものが多かったという印象があります。また、海岸で捨てられたと思われるごみではなく、海流に乗って流れ着いたと思われるごみもあり、そういうものの積み重ねで海洋プラスチックごみ問題が発生している現実を、身をもって理解することができました。
松本幸隼(以下、松本): 遠くから海岸を見ると、ごみが落ちているようには感じなかったのですが、近づいてみると細かなプラスチック片や当社で製造しているようなパッケージのごみがたくさんあることに気づいてショックを受けました。それが積もりに積もって、膨大な量になるのだと実感しました。
大嶋: プラスチック製の何かが割れたり、欠けたりした小さな破片が多かったですよね。そうした小さいごみは拾うのも大変で、もしもそのまま放置されて、破片がさらに小さくなってしまったら、今度は見つけることも困難になるだろうと思います。正規の回収ルート以外の場所にいかにごみを流出させないかが、非常に重要と感じました。
相田: たとえば青やピンクなど、色がついていてプラスチックだとすぐに分別できるものはいいのですが、白色の破片などは貝殻なのか、プラスチックなのか、見分けるのも大変でした。
廃棄されたその先まで考えたパッケージづくりを
—ビーチクリーン活動に参加したことで、自身の行動や考えの変化、また今後の仕事に活かせる気づきなどはありましたか?
小河: 実際にごみとなっているパッケージを目の当たりにし、リサイクルの大切さを知りました。大きなごみのうちに回収、リサイクル、廃棄をして、まずは小さなごみを出さないことが大切なのだと感じています。
松本: 私もごみの分別が非常に大事だということを痛感しましたね。また、得意先のサステナブルチームと商談する際に、今回のビーチクリーン活動のことを自分の実体験として積極的に話ができるようになりました。ビーチクリーンの取り組みの話をすることで、得意先もこの活動自体に意欲を示してくださったり、ほかの方法も含めてサステナブルに関する取り組みに興味をもっていただける可能性があるのではないかと感じています。
鷲尾: 今後は単純なパッケージの営業ではなく、自分の体験を交えることで環境に配慮したパッケージの提案を増やしていきたいですね。また、海岸でも一見するとごみが見えないように、普段目にしていても気づかない、あるいは気づかないふりをしていることもたくさんあると思います。なので、毎日の生活でも観察眼を磨いていきたいな、と感じました。
小川: 自分たちが製造するパッケージが環境に少なからず悪影響を与えている事実を知って、悲しい気持ちにもなりました。ただ、これは切っても切り離せない課題でもあるので、ひとつでも多くのパッケージを捨てられにくい、もし捨てられても影響の少ない、環境に配慮された素材へと変えていく義務があると、改めて思いました。
川﨑: 今回のビーチクリーンで、自分たちのつくる製品と地球環境との関係を痛感しましたね。ただパッケージをつくるだけでなく、その後の回収やリサイクルスキームまで確立する。プラスチック製パッケージをつくる者として、そこまでがTOPPANに求められている役割なのだと、改めて襟元を正すきっかけになりました。