東京都 世田谷区 子ども・若者部

行政DXで保育園入園業務を抜本改革、通知物電子化で住民と自治体双方の
利便性を向上

通知物電子送付サービス「Speed Letter Plus®」を含むデジタルツールを活用した申請者への通知
保育園入園業務のBPRによる業務フローの改革と、通知物電子化で住民・職員の利便性を向上

事業概要・施策

[課題背景]

東京都世田谷区では、職員数の減少と業務量の増加という深刻な課題に直面していました。
特別区の職員採用試験の受験者数は2018年の約1万3,000人から2023年には約8,000人に激減し、倍率も5.4倍から2.5倍に低下するなど、将来的に職員確保が困難になることが見込まれていました。
一方で、住民ニーズの多様化・複雑化により、行政サービスや制度は増え続けており、職員は業務量増加の厳しい現実に直面しています。

特に、保育園入園の選考指数付け計算業務はルールが複雑で職員への負荷が高く、一部はベテラン職員の知識に頼る属人化が進んでいました。
また、住民への通知物は紙での郵送が主流であり、封入・封緘作業や郵送コストが職員と住民双方の負担となっていました。さらに、公印が押印された秘匿性の高い行政処分通知のデジタル化には、公印の取り扱いに関するハードルが存在していました。

こうした背景から、世田谷区は持続可能な行政運営体制の構築を喫緊の課題と捉え、行政DXも活用した抜本的な業務改革に着手。第一歩として、保育園入園業務の改善が図られました。

[事業概要]

職員数の減少と業務量の増加という課題に対し、行政DXも活用しての行政改革を推進。
保育園入園手続きにおいて、デジタルとアナログの対応が非効率になっている現状の業務フローをBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)で見直しを行いました。

特に負荷の高い選考指数付け計算の自動化や、業務の属人化を防ぐマニュアルの作成、より住民が記入しやすいよう申請書の様式改訂を実施しました。
さらに、通知物電子化サービス「Speed Letter Plus®」を導入し、紙の郵送によるコストや職員の負荷を軽減。
この取り組みにより、住民の利便性向上と職員の業務効率化を同時に実現しています。

[具体的な取り組み]

  • BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の実施

    以前はオンライン申請も紙に印刷して処理するなど、申請以降のほとんどの工程がアナログ対応となっており、職員への負荷が課題でした。
    そのため、業務プロセス全体をデジタルで完結させることを目指した抜本的な業務フローの改善を実施。

    複雑な指数計算業務の属人化を防ぐため、誰でも同じ作業ができる詳細なマニュアルを作成し、業務を標準化。
    自動化するための指数付けロジックツールの導入も進めました。
    さらに、住民が記入しやすく、AI-OCRで正確に読み取れるよう申請書の様式改訂を実施。
    これにより、業務効率化と属人化防止を実現し、持続可能な行政運営体制の構築を目指しました。

  • 「Speed Letter Plus®」による通知物の電子化

    行政DXの一環として、通知物電子送付サービス「Speed Letter Plus®」を導入しました。
    まず保育園の継続確認書類を対象とした実証実験を実施し、通知物をデジタル送付するだけでなく、通知から電子申請までを一貫して進められる動線を用意。

    これにより、保育園職員の業務負荷軽減が確認され、電子申請率も30%から45%に向上しました。
    さらに、公印が押印された入園承諾書や待機通知書など、秘匿性の高い通知物についても、電子署名の付与や関係部門との協議を通じてデジタル化を実現しています。
    また、紙の通知が必要な住民向けには、データプリントサービス(DPS)と連携し、紙とデジタルの二重管理を解消することで、職員の負荷軽減を成功させました。

  • 保育園入園申請「以前のフロー」

    保育園入園申請「以前のフロー」

  • 保育園入園申請「目指すべきフロー」

    保育園入園申請「目指すべきフロー」

  • 帳票の改訂

    帳票の改訂

  • 通知物電子送付サービス「Speed Letter Plus®」

    通知物電子送付サービス「Speed Letter Plus®」

TOPPANのソリューションポイント

  • 最適な行政事務処理業務の設計ノウハウ

    自治体職員不足は今後も継続する課題であり、かつデジタル技術の発展や多様化する住民ニーズに対する行政サービスの在り方は今、根本的な見直しが求められています。
    多くの自治体で業務フローの見直し、行政DX推進に取り組んでいますが、日々の業務レベルの改善や削減、小さな取り組みでは効果は小さいばかりか、かえって非効率な仕組みになることもあります。

    金融機関をはじめとした民間企業でのアウトソーシング業務の設計ノウハウを活かし、各種帳票の設計から、受付・審査・入力などを最適に行う業務フローの設計など、わかりやすく効率的な行政事務処理業務の設計をサポートします。

  • 通知物電子送付サービス「Speed Letter Plus®」

    「Speed Letter Plus®」は、行政DXに貢献する通知物電子化サービスです。
    行政手続きのオンライン化を支援し、各種通知物をデジタルデータに変換してマイナンバーカード等で認証されたIDに安全に送付。
    郵送物をスマートフォンなどで受け取れるようにすることで、住民サービスの満足度向上とペーパーレス化による経費削減、業務効率化を実現することが可能。
    また、金融業界で培われた高いセキュリティサービスを活用しているため、秘匿性の高い行政処分通知の電子送付にも対応できます。

    デジタルで通知を受け取った住民は、通知からオンライン申請までを一貫して行うことができ、利便性の向上にも貢献。行政DXの推進と、自治体職員の業務効率化・住民の利便性向上を実現します。

通知物電子送付サービス「Speed Letter Plus®」

自治体の行政手続きオンライン化を支援。各種通知物をデジタル化し、マイナンバーカードで認証されたIDへセキュアに送付する通知物のDXサービスです。

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