熊本市
熊本市総合行政事務センター
行政DXと業務集約による効率化の実現
熊本市総合行政事務センター
熊本市における総合行政事務センターの設立支援。
市税、医療費助成、就学援助など複数業務を対象とした集約とDX推進。
事業概要・施策
[課題背景]
政令指定都市である熊本市では、約4,500種類に及ぶ申請手続きを通じ市民や事業者の暮らしに直結する行政サービスを提供しています。
全国的な潮流と同様に、少子高齢化や生産年齢人口の減少、デジタル社会への転換といった急速な社会変化への対応が急務となっており、行政に求められる役割は一層複雑・多様化しています。加えて、熊本地震を契機とした激甚化・頻発化する自然災害への対応や、半導体関連企業の進出といった地域特有の課題や機会にも直面しています。
こうしたなかで、定型業務や窓口対応に追われることによる職員の負担増、時間外勤務の常態化、業務改善の停滞といった課題が顕在化していました。区ごとに異なる手法で類似業務を処理していたため、業務標準化が進まず、効率性の低下や遅延リスクの増大も見られるなど、市民サービスの向上と職員の生産性向上を両立するには、事務業務の集約と効率化が不可欠な状況となっていました。
[事業概要]
熊本市は2024年10月に「総合行政事務センター」を市役所庁舎内に開設し、それぞれの部署で対応していた市税の口座登録、医療費助成、就学援助などの業務工程の中から定型的な処理業務を集約しました。これにより、職員の業務負荷を軽減するとともに、市民サービスの迅速化を実現しています。
総合行政事務センターではOCRや進捗管理システムを導入し、紙とデータが混在する業務にも対応できる効率的な体制を構築しました。ICTツールを活用した業務の標準化・可視化が進んだことで、職員配置の見直しにもつながっています。 TOPPANではこの総合行政事務センターの立ち上げ~運営を支援しています。
[具体的な取り組み]
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BPRによる事前調査・設計
総合行政事務センターの設立に先立ち、全庁的な業務調査を実施し、委託化に適した「ノンコア業務」を抽出しました。選定にあたっては、処理件数や難易度、市民サービスへの影響度などを総合的に判断し、費用対効果が見込める業務を対象としました。
その後、業務フローの可視化や詳細設計、マニュアル整備を進めることで、総合行政事務センター稼働後の円滑な運営を可能とする仕組みを整備。併せて、課題の整理と改善策を具体化し、中長期的に目指すべき総合行政事務センターの姿を描きながら、将来の行政運営に資する基盤を整理しました。 -
総合行政事務センターによる運営と業務集約
開設以降、総合行政事務センターでは、市民生活に密接に関わる6つの業務(市税振替及び還付口座登録業務、消防用設備等点検報告書受付業務、就学援助業務、こども医療費助成業務、ひとり親家庭等医療費助成業務、重度心身障がい者(児)医療費助成業務)を集中的に取り扱っています。
内容確認や審査、システム入力、決定通知の作成などの処理を一元的に担うことで、従来は本庁や市役所で分散していた処理を効率化しました。さらに、進捗管理システムを用いた業務の可視化や、申請書の二次元コード管理による搬入出の正確性向上を図り、大量の事務処理においても安定した運営を実現しました。医療費助成業務では新たに導入した「併用レセプト方式(請求処理の電子化)」に対応した、エラー検知やデータ処理を効率化する仕組みを整備。業務の標準化と属人化防止を徹底し、今後新たに発生する事務にも柔軟に対応可能な体制を構築しています。
その結果、時間外勤務は約32%削減され、定期異動においては15名程度の配置見直し効果につなげることができました。業務の効率化によって生み出されたリソースを企画立案や市民対応といった付加価値の高い業務へ振り向けることが可能となり、熊本市は職員の業務負荷軽減と市民サービスの質向上を同時に実現する運営モデルを確立しました。
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熊本市総合行政事務センター
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伴走型支援による業務設計~運用
TOPPANのソリューションポイント
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バックヤード集中処理体制の導入
バックヤード業務を集中処理する体制(Backyard型運営)を、熊本市事業にも適用。分散していた事務処理を集約することで、効率化と処理精度の向上を実現。これまで他自治体・民間業界で培ったバックヤード設計ノウハウを活かし、熊本市でもスムーズな業務集約を実現しています。
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庁舎内オンサイト運営と連携強化
熊本市役所本庁舎内に業務スペースを設け、オンサイトでの事務運営を実践。バックヤード集中処理体制と庁舎直結型の運営を併用することで、現場と本部の距離を縮め、調整や対応のタイムラグを最小化。自治体業務に精通した体制によって、地域性や現場事情にも柔軟に対応します。
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DX技術と内製ツールのバックヤード最適化利用
バックヤード処理において進捗管理システムや二次元コードでの原本管理、自動エラー検知・自動計算ツールなどを駆使。データ処理中心の裏方業務を効率化し、人的ミス削減と高速処理を両立。熊本市の総合行政事務センターでは、こうしたバックヤード技術を活かしたBPO運営を展開しています。







