香老舗 松栄堂

伝統文化を体験型展覧会で継承。「香り」と「文学」の掛け合わせで実現する新たな文化振興の形

「言葉でつなぐ、私と香り展」企画・運営

事業概要・施策

課題背景

日本の香文化は約1400年の歴史を持つ生活文化であり、次世代へ継承すべき日本独自の伝統文化です。しかし現代社会においては、風習の変化によるお線香の使用場面減少等の影響で若年層が日本の香文化の魅力に触れる機会が減少傾向にあるという課題を抱えていました。
また、これまでの伝統文化の展示は、歴史の解説や作法の紹介といった「知識の伝達」が中心となる傾向があり、新たな層の興味関心を惹きつけ、日常の暮らしに取り入れるところまで繋げるには訴求力にも課題がありました。いかにして伝統文化を暮らしの中に取り入れ、継続的に親しんでもらうことで次世代へ継承していくかが問われていました。

事業概要

初年度は文化庁「令和6年度生活文化創造・戦略展開事業」の一環として若年層をメインターゲットに、日本の香文化を振興・体験できる機会を創出する企画展「言葉でつなぐ、私と香り展」の企画・制作・運営を行いました。創業300余年の香老舗 松栄堂の全面協力のもと、現代で活躍する直木賞作家 千早茜氏を迎え、現代の感性を取り入れた「香りと言葉」のコラボレーションによる来場者参加型のインスタレーションを制作。
初回の東京下北沢での開催後、令和8年度には金沢21世紀美術館での巡回展も開催。視覚だけでなく嗅覚にも強く働きかける新たな体験を生み出し、東京展では約5,000人、金沢展では約26,000人の来場を記録し、香文化の普及と伝統文化の継承に貢献する成功モデルとなりました。

具体的な取り組み

  • 「香りと言葉」を融合した参加型インスタレーションの制作

    古来、日本では和歌や漢詩、物語などにおいて「香り」は多く取り上げられ、「文学」と「香り」は密接な関わりがありました。そこに着目し、香老舗である松栄堂が調合したお香の香りと、現代で活躍する小説家の千早茜氏がその香りからインスピレーションを受けて紡いだ言葉を組み合わせた新作インスタレーションを制作しました。
    来場者は、嗅覚と視覚を使って目に見えない情景や気配を感じ取り、自身の感性で香りと言葉を自由に組み合わせます。その組み合わせの「香りの栞」を作成し持ち帰ることも出来ます。一方的な鑑賞ではなく、来場者自身が主体的に参加し、自分だけの体験として日常へ持ち帰ることのできる伝統文化の継承の新たな手法を示しました。

  • 歴史的背景から現代での楽しみ方までを繋ぐ多角的な展示構成

    平安時代から江戸時代に至る奥深い香文化の変遷や、多様な香原料を展示し、日本の香りを直感的かつ多角的に学べる空間を用意しました。東京展では、現代のライフスタイルにも取り入れやすい電気香炉を用いた聞香体験なども実施。伝統文化に関する知識提供にとどまらず、日常での新しい楽しみ方を提示することで、生活文化としての定着とその継承を促しました。

  • 体験価値向上と広報戦略による来場促進

    金沢展では、参加型インスタレーションの「香り」と「言葉」を1種ずつ追加し展示を拡張した他、鼻を頼りにゴールを目指す新展示「香りの迷路」、松栄堂 調合師と小説家の千早茜氏によるトークセッション、匂い香づくりワークショップなどを新たに実施。コンテンツの拡張・追加により体験価値をさらに向上させました。
    親和性の高い若年層へのリーチを最大化するため、東京展ではカルチャーメディア「CINRA」とのタイアップ記事を展開するなど、ターゲット層に合わせた的確な情報発信を実施し、伝統文化の継承に寄与しました。

  • 「香り×言葉」インスタレーション

  • 多彩な日本のお香

  • 香の原材料

  • 金沢21世紀美術館 会場の様子

TOPPANのソリューションポイント

  • 文化の継承やアーカイブ構築、利活用までをトータルにサポート

    TOPPANはこれまで多様な「文化」を題材にしたデジタルアーカイブや、文化をテーマにした展覧会やイベント、研修、ツアー等を企画・運営してきました。 文化財のアーカイブ、デジタル化やコンテンツ制作、イベント実施等の利活用までをトータルにサポートし、伝統文化の継承や魅力向上に貢献します。

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