DMC高野山ほか
文化資源の魅力を伝える周遊拠点・
サービス開発
文化資源の高付加価値化による文化観光推進
高野山の文化資源の磨き上げによる周遊促進と滞在長期化

VRコンテンツ『高野山 壇上伽藍ー地上の曼荼羅ー』
製作協力:高野山真言宗 総本山金剛峯寺
製作著作:TOPPAN株式会社 © TOPPAN INC.
事業概要・施策
[課題背景]
文化観光とは、文化についての理解を深めることを目的とする観光を指します。文化財への理解を深めその魅力を広めることで、文化の保存・継承や文化財を起点とした消費活動の活性化・地域の活性など経済循環効果も見込めます。
日本には多くの国宝・重要文化財がありますが、この場合の「文化財」はこれら指定の有無を問わず、また有形・無形を問わないさまざまなものを指します。博物館に所蔵されている物品や建築物、芸術品、自然の風景、祭や料理、歴史や文化発展に関わる多様な事物が対象となりますが、まだ日本全国には十分な理解が得られていない文化財が多く、こうした文化財が失われてしまわないよう発掘・研究調査活動などの取り組みは必須といえます。
文化観光はこうした文化財が後世に残っていくための取り組みとして、また、地域活性化の観点から観光資源化と観光促進施策への活用という点でも注目が集まっています。
今回の文化観光促進事例、和歌山県の高野山は、弘法大師空海が真言宗を開いた地として、長い時代を経て豊富な文化資源を1200年以上守り継いできた場所として国内・海外から多くの観光客を引き寄せています。
一方、ほとんどの来訪者や観光客は日帰りで帰ってしまう傾向があり、周遊観光の促進・地域経済活性化が課題でした。周遊や滞在長期化による観光消費増加を促すためには、高野山全体の持つ世界遺産としての文化的価値を深く理解してもらうためのストーリーを造成し、地域一帯を観光地として来訪者に訴求する必要がありました。
[事業概要]
国土交通省観光庁「既存観光拠点再生補助金」を活用し、西海国立公園九十九島の自然や高野山エリアの観光振興の中心的存在である、総本山金剛峯寺と地域まちづくり会社のDMC高野山の協力体制の構築を支援しました。文化観光拠点計画の策定支援、周遊拠点施設「高野山デジタルミュージアム」の開発・運営支援、周遊活性化のためのサービス開発を実施しました。
[具体的な取り組み]
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文化庁「文化観光拠点計画」の策定支援
高野山エリアの文化観光推進法※拠点計画では、高野山の歴史や文化をストーリーとして伝えるVRシアターを併設した周遊拠点開発が主な事業として定められています。周遊拠点施設を起点に、観光ツアー造成、オリジナル商品開発、海外からの旅行者に向けたWEBサイトでの多言語発信などが位置付けられています。TOPPANは、文化庁の補助金採択に必要な拠点計画策定支援を通して、文化観光振興に必要な資金調達に貢献しました。
※文化観光推進法…博物館や寺社などの文化施設を観光拠点とし、その経済効果が文化資源の保全修復などにあてられる好循環を目指して2020年5月に施行された法律。文化庁は文化観光推進法に基づき、地域の観光振興の事業計画を認定しており、認定を受けた地域は、計画で位置づけられた事業実施にあたって補助金などの支援が受けられる。
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周遊拠点の開発・運営支援
地域まちづくり会社のDMC高野山が運営する「高野山デジタルミュージアム」は、VRシアターにカフェ・ショップが併設された複合施設です。高野山観光の中心地に位置しており、高野山の歴史や文化、周辺地域に関する多様な観光情報を発信しています。ここでは来訪者が高野山の歴史や文化について理解を深めたり、地域生産者・地域事業者の食を取り入れたメニューとともに観光の途中に休憩したりでき、文化観光促進や地域経済活性化に寄与しています。
「VRシアター」ではVRなどのデジタルコンテンツを用いることで、文化資源のストーリーが見える化されています。TOPPANは、文化関係者との調整、コンテンツ企画・制作支援、VRシアターの設置施工と運営支援を行いました。シアターにも高野山の文化を感じる特別な素材や装飾を使用し、文化観光の目的である文化財への理解を深める場を提供しています。 -
周遊観光活性化のためのサービス創出
「高野山デジタルミュージアム」では、高野山の聖地である壇上伽藍の魅力を伝えるVRコンテンツを上演しています。TOPPANは、印刷テクノロジーで培った高度な技術を活用し、VRコンテンツの提供を行いました。
また、地域観光促進には地域の紹介だけでなく、持続可能な観光促進の仕組み作りも重要です。そこで、VR鑑賞を通して文化資源の魅力を知った来訪者に対し長期滞在や消費を促す体験サービスも開発しました。例えばインバウンド富裕層向けに高い付加価値を持つ特別な旅行体験を提供できるよう、VRなどのデジタルコンテンツで高野山の歴史や文化について理解を深めた後に、阿字観(瞑想)や夜間境内ガイドウォークで僧侶と関わり合うことのできるツアーを開発しました。また、オフシーズンの地域資源活用を目的に、長く続く高野山文化からSDGsや企業倫理について学ぶ、企業・団体向けの人材研修プログラムを開発しました。
文化観光施策成功のポイントは、文化財の魅力を磨きあげ適切に発信を行うこと、文化財の持つ歴史や背景を様々な視点で紹介すること、そして地域経済に寄与する仕組みを構築し、長く文化観光が自走していける仕組みを構築することです。TOPPANの文化観光支援は、文化財の持つ魅力を最大限に生かす施策を、さまざまな手法・技術を組み合わせ提供いたします。
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文化観光拠点計画の概要図
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高野山デジタルミュージアム
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ツアーの様子①VRで境内を紹介
VRコンテンツ『高野山 壇上伽藍ー地上の曼荼羅ー』
製作協力:高野山真言宗 総本山金剛峯寺
製作著作:TOPPAN株式会社 © TOPPAN INC. -
ツアーの様子②VR鑑賞後の境内ガイドウォーク
TOPPANのソリューションポイント
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文化観光の計画策定支援
文化財のデジタルアーカイブの取り組みで培った、文化資源の魅力を一般に向けてわかりやすく伝える知見と、豊富な省庁自治体案件の経験をもとに、文化観光振興の計画策定や補助金獲得を支援します。
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デジタルコンテンツによる地域資源の高付加価値化
多様な文化資源の魅力を、史実を並べ立てて説明するだけではなく、デジタルコンテンツを用いて五感に響くストーリーとして伝えます。こうすることで共感を呼び、ストーリーに沿った新商品やサービスの創出が可能になり、地域資源の高付加価値化が実現します。
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トータルソリューションを提供する総合力
調査・計画策定、デジタル表現・施設開発、商品サービス開発など、文化観光の取り組みを一貫してサポートするのはもちろん、文化観光の収益力を強化することで、持続可能な地域観光の活性化を支援します。

文化観光活性化支援サービス
文化観光・周遊観光を促進し、地域活性化をトータルで支援します。
点在する文化観光資源をつなぐ「ストーリー」の策定で魅力を最大化。リピーター増・消費額増を目指します。