愛知県 経済産業局革新事業創造部 イノベーション企画課
AIと医療データの活用による医療機関への受診促進施策
あいちデジタルヘルスプロジェクト共創促進事業
骨粗鬆症リスク予測に基づいた行動変容支援事業
事業概要・施策
[課題背景]
高齢化社会において、骨粗鬆症に起因する脆弱性骨折や要介護化の防止は、自治体が優先的に取り組むべき重要な医療・保健分野の施策の一つです。愛知県東浦町において、国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入する女性(約7,000名)を対象とした分析では、令和4~5年度に骨粗鬆症の診断を受けた人が約5%存在する一方で、残る約95%にあたる約6,700名の住民については診断歴がなく、個々の潜在的な骨折リスクを把握できていないことが課題でした。
従来の施策では、自覚症状の乏しい初期段階の方や、検診を受診しない層へのアプローチが難しく、骨折して初めて骨粗鬆症が判明するケースも少なくありません。限られた財源の中で医療費・介護費の適正化を図るためには、科学的根拠に基づいて将来骨折を起こしやすいハイリスク者を特定し、医療機関への受診を早期に促す施策が求められていました。
[事業概要]
東浦町、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学、株式会社ヘルスケアシステムズと連携し、新たな予防医療施策として「骨粗鬆症リスク予測に基づいた行動変容支援事業」を実施しました。
本事業は、愛知県が県民の健康寿命延伸と生活の質(QOL)の向上を目指すために推進する「あいちデジタルヘルスプロジェクト」における実証事業の一環として推進。東浦町が保有する健診データやレセプト(診療報酬明細書)などを活用し、骨粗鬆症リスク予測AIを用いた疾患リスクの分析が実施されました。AIにより「医療相談が推奨される層」を抽出し、骨粗鬆症に関する情報提供や検査キットの送付により、自発的な医療機関への受診(行動変容)を支援しました。
なお、本施策は、従来の網羅的な施策に比べて効率的であり、将来的な骨折予防と自治体の医療財政負担軽減の両立を目指すものです。
[具体的な取り組み]
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AI活用による「ハイリスク者」の抽出
従来ではアプローチが困難だった「診断なし・未治療」の層から、治療優先度の高い対象者を抽出するため、骨粗鬆症リスク予測AIを活用しました。
東浦町の女性7,056名を対象とした分析では、AIを用いることで40代から90代以上まで幅広い年齢層からハイリスク者を抽出することに成功しました。これにより、個別アプローチの人数を約300名まで精査できました。 -
リスクの可視化により行動変容を促す個別アプローチの実践
抽出された対象者に対し、ダイレクトメール(DM)や検査キットを送付し、医療機関への受診勧奨を行いました。
本施策は、自覚症状を伴わないことが多い骨粗鬆症に対し、検査キットを用いたリスクの可視化を行うことで、住民がご自身の状態を客観的に把握し、医療機関を受診するきっかけとしていただくことを目的としていました。
この取り組みの結果、これまで骨粗鬆症の診断を受けていなかった方のうち14名が医療機関で新たに骨粗鬆症と診断され、早期治療への道が開かれました。
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事業の全体像
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AI活用による「ハイリスク者」の抽出と
受診勧奨による骨粗鬆症の早期発見
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検査キット
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受診勧奨DMイメージ
TOPPANのソリューションポイント
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データ利活用による施策立案支援
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