2026.07.07
自治体の子育て支援事例7選|DX推進とBPO活用で住民満足度を最大化
TOPPANが支援した自治体の子育て支援事例をご紹介します。DX・BPRの推進やBPO活用による先進的な取り組みを例に、住民満足度向上と業務効率化を両立させる施策のポイントを解説しました。
少子化の進行や共働き世帯の増加を背景に、自治体にはより実効性の高い子育て支援施策が求められています。国では「こども未来戦略」に基づき、児童手当の拡充や妊娠・出産支援など、さまざまな制度・経済的支援を進めています。
一方で、住民ニーズの多様化により、給付や補助だけでは十分な成果を得ることが難しいのが実情です。こうした状況を受け、DX・BPRの推進や、BPOの活用を通じて、住民の利便性向上と業務効率化を両立する取り組みが注目されています。
本記事では、自治体の子育て支援事例を紹介するとともに、施策を成功に導くポイントを解説します。
この記事でわかること
・子育て支援施策の概要
・子育て支援施策の取り組み事例
・子育て支援の成功に向けたポイント
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自治体に求められる主な子育て支援施策
近年、少子化や共働き世帯の増加を背景に、自治体には従来以上に実効性の高い子育て支援施策が求められてきました。児童手当などの経済的支援に加え、保育サービスの充実や相談体制の強化、子育てしやすい環境づくりなど、多面的な取り組みの重要性が高まっています。
DX推進やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、民間サービスを活用し、限られた人員・予算の中で持続可能な運営体制を構築する動きも広がっています。
ここでは、自治体に求められる主な子育て支援施策をご紹介します。
経済的支援
出産や育児にともなう経済的不安を軽減するため、自治体には給付金や助成制度の充実が求められています。保育料軽減や医療費助成、住宅支援など、子育て世帯の経済的負担を総合的に支える施策が必要です。
こうした支援情報を必要とする人に届けるため、オンライン申請やプッシュ型通知を活用する取り組みが広がっています。単発の給付にとどまらず、継続的な安心感につながる支援設計を行うことが、定住促進や出生率低下に歯止めをかける一助となるでしょう。
こうした各種給付業務には迅速かつ正確な対応が求められるため、職員負担を抑えながら円滑な運営を実現する手段としてBPOの活用も有効です。
TOPPANでは自治体向けの給付金BPOサービスを提供しています。自治体をはじめ多様な業種・業界での実績があり、問い合わせ対応から申請受付処理までワンストップで対応が可能です。
預かり・保育サービス
共働き世帯の増加や働き方の多様化にともない、自治体に求められているのは、柔軟な預かり・保育サービスの充実です。延長保育や一時預かり、病児保育など、家庭ごとの事情に応じた支援体制を整えることで、保護者の子育てと仕事の両立を後押しできます。
また、保育施設の空き状況確認や入所申請のオンライン化など、DXを活用した利便性向上の取り組みも進んでいます。
一方で、保育現場では人手不足が深刻化しており、ICT活用やBPO導入による業務負担の軽減も重要な取り組みです。保護者が安心して働きながら子育てできる環境を整備することで、定住促進や地域活性化に貢献します。
相談・伴走型支援
子育て家庭の孤立や育児不安を防ぐため、妊娠期から出産・子育て期まで継続的に寄り添う伴走型支援の重要性が高まっています。保健師や相談員による定期面談、オンライン相談など、多様な相談窓口の整備が必要です。
昨今は、LINEやアプリを活用した情報発信や相談受付など、気軽に利用できるDX施策も広がっています。
さらに、支援が必要な家庭を早期に把握し、福祉・医療・教育部門が連携して切れ目のない支援体制を構築することも重要です。こうした取り組みは、保護者の心理的負担を軽減し、「安心して子育てできる地域」という実感の醸成につながるでしょう。
環境・インフラ整備
子育て世帯が安心して暮らせる地域を実現するためには、安全で利用しやすい生活環境の整備が欠かせません。公園や遊び場、授乳室、子育て支援拠点など、親子が気軽に利用できる公共空間の充実が求められます。
具体的には、保育施設や通学路の整備、防犯・見守り体制の強化など、子どもの安全確保が重要な取り組みです。
さらに、施設予約システムやデジタル案内など、利便性向上に寄与するDXの活用も広がっています。「子育てしやすいまち」を実現することで、住民満足度や地域価値の向上が期待できます。
自治体の子育て支援取り組み事例
ここでは、TOPPANによる自治体支援事例を通じて、子育て支援施策の具体的な取り組みをご紹介します。
子育て支援業務の改善による住民サービス向上
子育て支援施策では、住民ニーズに寄り添いながら、業務効率化とDX推進を両立させることが重要です。近年は、デジタル技術やBPOを活用し、限られた人員でも持続可能な支援体制を構築する自治体が増えています。
とくに、手続きのオンライン化や情報発信の高度化は、住民の利便性向上と職員負担軽減の両面で大きな効果を発揮しています。
DXとBPRによる「子育て支援」事務の最適化
東京都武蔵野市では、制度ごとに分断された子育て関連手続きや、職員不足・労働人口減少を見据えた持続可能な運営体制の構築が課題となっていました。
そこで実施したのが、部局横断型の大規模なBPR(業務改革)による子育て支援業務の可視化と、非効率なアナログ作業や重複業務の改善です。また、児童手当や保育関連手続きのオンライン申請を拡大し、SMSによる申請フォーム案内や窓口でのタブレット活用を通じて、住民の利便性向上に取り組みました。
子育て支援事務を一体的に集約することで、ワンストップ型の行政サービスとバックヤード業務効率化を計画しています。加えて、審査・入力業務の自動化やヒューマンエラーの削減のため、RPAやAI-OCR、生成AIの活用検討も進めています。
「人的支援+DX推進支援」により、住民利便性の向上と持続可能な行政運営を両立した事例です。
・参考:「子育て支援」事務を部内横断で最適化。 行政手続きのオンライン化とボトムアップ型業務BPRで持続可能な市政運営へ|事例紹介
住民と自治体双方の利便性向上に貢献する保育園入園業務の抜本的な改革
東京都世田谷区において、職員数の減少と業務量の増加を背景に課題となっていたのは、保育園入園業務の属人化やアナログ運用です。対策として、保育園入園手続き全体を対象にBPRを実施し、デジタルを前提とした業務フローへの抜本的な見直しを推進しました。
とくに負荷の高い選考指数付け計算を自動化するとともに、詳細なマニュアル整備による業務の標準化を行い、属人化の解消を図っています。また、AI-OCRに対応した申請書様式へ改訂することで、住民の記入負担軽減とデータ処理の効率化を実現しました。
さらに、通知物電子送付サービス「Speed Letter Plus®」を導入し、通知から電子申請までを一貫してデジタル化しています。その結果、電子申請率は30%から45%へ向上し、郵送コストの削減や封入作業負担の軽減につながりました。
加えて、電子署名やデータプリントサービスを活用することで、秘匿性の高い通知物のデジタル化と紙運用の効率化も実現しています。
・参考:行政DXで保育園入園業務を抜本改革、通知物電子化で住民と自治体双方の利便性を向上|事例紹介
子どもの教育機会の創出
自治体による子育て支援では、家庭の負担軽減に加え、子どもの体験や教育の質を高める取り組みも重要です。自治体がハブとなり、教育機関や民間企業、博物館などと連携して学びの機会を提供する事例も増えています。
地域で子ども達の成長を支える教育マッチングサービス
新学習指導要領が掲げる「社会に開かれた教育課程」の実現には、学校と地域の連携が欠かせません。しかし、こうした地域の人的・地域資源を活用した教育機会の創出や調整は教員の負担となっていました。
そこで、福島県会津若松市では、2023年に地域企業・団体・個人・学校をつなぐ教育マッチングサービス「まちスク®」の実証実験を開始しました。効率的なマッチングと調整を実現し、多様な学びの機会の創出に貢献しています。
・参考:学校と地域をつなぐ教育マッチングサービス「まちスクⓇ」実証運用|事例紹介
デジタルコンテンツを活用した防災学習支援
三重県では、児童生徒が災害時に適切な判断と行動を取れるよう、防災学習を支援するデジタルコンテンツを整備しました。具体的には、教室や運動場、通学路などで地震に遭遇した時の避難行動を学べる動画に加え、児童生徒が自ら考えながら防災スキルを身につけられる、学年別コンテンツを提供しています。
学校での授業と家庭学習のどちらにも対応した双方向型デジタル教材により、学校と家庭が連携しながら防災力を高められる環境を整えました。
・参考:防災学習を支えるデジタルコンテンツの提供および教育支援の実施|事例紹介
子どもの興味を促すVR・ARを使用した学習コンテンツ
岐阜県では、自然史学習の一環として、博物館の常設展示をVR・AR技術によって再現する取り組みが行われています。専用のヘッドマウントディスプレイを使用することで、児童生徒は360度に広がる恐竜の世界を体験することが可能です。
実物展示だけでは難しい没入感のある学習体験を提供することで、児童・生徒の興味や関心を高めることに成功しました。地域の自然環境や科学への理解を深めるとともに、デジタル技術を活用した新しい学びの機会として注目されています。
・参考:VR・ARを活用した博物館でのデジタルコンテンツ体験|事例紹介
子育て関連情報の発信・普及啓発
自治体の子育て支援では、パンフレットを配るだけでなく、必要な情報を届きやすい方法で発信することが重要です。これにより、自分から情報を探しにいけない多忙な保護者への支援につながります。
とくに妊娠前からケアを始めることで、切れ目のない支援を実現しながら、孤立を防ぎ安心感を与えることができます。
プレコンセプションケア推進のためのWEBサイト開設と広告配信
神奈川県では、若い世代の男女にプレコンセプションケアを周知するため、妊娠・出産に関する情報を発信するWEBサイト「丘の上のお医者さん」への誘導を目的としたインターネット広告を実施しました。
静止画や動画のバナーを制作し、適切な広告媒体を選定したうえで配信を行っています。これにより、妊娠・出産に関する正しい知識や相談窓口の存在を広く伝え、自身の健康やライフプランについて考える機会の創出につなげました。
・参考:プレコンセプションケア普及啓発インターネット広告業務|事例紹介
IoTサービスを通じて女性の妊活と健康管理をサポート
秋田県にかほ市では、妊娠前からの健康管理を支援するため、「女性のこころとからだのサポート事業」を開始しました。本事業では、妊娠を希望している方や不妊治療を受けている方、生理前の不調に悩む方などを対象に、ヘルスケアIoTサービス「わたしの温度®」を3カ月間無償で貸し出しています。
利用者は日々の体調や生活習慣を記録しながら、自身の健康状態を把握できるほか、妊活や女性特有の健康課題に関する情報提供を受けることが可能です。また、保健師や産婦人科医による講話を実施するとともに、必要に応じて個別相談にも対応し、妊活や健康に関する不安の軽減を図っています。
・参考:デジタルを活用しヘルスケアIoTサービスを用いた 女性の健康支援「女性のこころとからだのサポート事業」|事例紹介|TOPPAN SOCIAL INNOVATION
事例から学ぶ、子育て支援を成功させるためのポイント
子育て支援施策を効果的に機能させるためには、制度を整備するだけでなく、住民に「使われる仕組み」を設計する視点が重要です。近年は、DXやBPOを活用しながら、住民ニーズに寄り添った継続的な支援体制の構築に取り組む自治体が増えています。
ここでは、ご紹介した取り組み事例もふまえながら、子育て支援を持続的かつ効果的に推進するための重要なポイントを解説します。
住民のニーズを正確に把握する
子育て支援施策を効果的に届けるためには、住民が本当に必要としている支援内容を正確に把握することが重要です。そのためには、アンケートや相談窓口、利用データの分析などを通じて、地域ごとの課題やニーズを継続的に収集する必要があります。
また、妊娠期・乳幼児期・就学期といったライフステージごとに異なる悩みや負担を把握する視点も欠かせません。「自治体が提供したい支援」ではなく、「住民が利用したい支援」を設計することが、施策の利用促進や満足度向上につながります。
シームレスな支援体制をつくる
子育て支援では、妊娠・出産・育児・就学といったライフステージごとに切れ目なく支援を提供できる体制づくりが不可欠です。担当部署ごとの縦割りを防ぎ、福祉・保育・教育などが連携する横断的な支援体制を構築する必要があります。
また、住民が複数の窓口を行き来しなくても済むよう、ワンストップ化や情報連携の推進も求められています。
さらに、オンライン申請やデータ連携を活用することで、手続き負担を軽減しながらスムーズな支援提供も実現できるでしょう。「必要な時に必要な支援が届く仕組み」を整えることは、住民満足度の向上にも寄与します。
地域全体を巻き込む
子育て支援を持続的に充実させるためには、自治体だけでなく地域全体で協力することが重要です。地域企業やNPO、シルバー人材など、多様な主体と連携することで、支援の幅を広げながら担い手の確保にもつなげられます。
また、見守り活動や子育てイベント、親子の居場所づくりなど、地域コミュニティを活かした取り組みも欠かせません。
さらに、民間サービスや外部専門人材を活用することで、自治体単独では不足しがちな運営力や専門性を補完できます。「地域全体で子どもを育てる環境」を整えることが、安心して暮らせるまちづくりにつながります。
広報活動により施策の認知度を高める
子育て支援施策は、制度を整備するだけでは十分な効果を発揮できません。必要な住民に情報を確実に届けるため、SNSやLINE、アプリ、動画など、多様な媒体を活用したわかりやすい情報発信が求められます。具体的には、ライフステージや属性に応じたプッシュ型通知を活用し、申請漏れや利用機会の損失を防ぐといった方法です。
制度の内容だけでなく、利用方法や利用するメリットを具体的に伝える工夫も重要です。継続的に広報活動を行うことで施策の認知度が高まり、住民満足度の向上や定住促進にもつながります。
DX・BPOを活用して持続可能な運営体制を構築する
子育て支援を持続的に提供するためには、DXやBPOを活用した運営体制の構築が重要です。オンライン申請やデジタル手続きが普及すれば、平日に役所へ足を運ぶことが不要になり、デジタルネイティブである子育て世代の負担を大幅に軽減できます。
また、給付金処理や申請受付などの定型業務を効率化・外部委託することで、職員は申請処理などのノンコア業務に追われることなく、専門的な育児相談や子育てイベントの企画など、本来注力すべき支援業務に集中できるようになります。
子育て支援事例を参考に住民の笑顔があふれる自治体運営を
子育て支援施策を推進する際には、住民ニーズに寄り添いながら、利便性向上と業務効率化を両立させる視点が欠かせません。近年は、DXやBPRの推進、BPOの活用により、限られた人員でも持続可能な支援体制を構築する自治体が増えています。
また、先進事例からは、部門横断での連携や地域全体を巻き込んだ支援体制づくりの重要性も見えてきます。
オンライン申請や電子通知の活用は、住民体験(UX)の向上と職員負担の軽減の両面に効果を発揮する取り組みです。他自治体の事例を参考にしながら、自庁の課題や地域特性に合った施策を検討・実践することが、住民の笑顔あふれる自治体運営につながるでしょう。
TOPPANでは、子育て支援に取り組む自治体向けに、各種BPOサービスやDX推進支援を提供しています。子育て支援施策の推進や業務効率化、運営体制の見直しなどでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
- こども家庭庁(https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido)









