2025.06.27

防災の取り組み事例から学ぶ
地域防災力の高め方

この記事では、全国の自治体による防災の取り組み事例をご紹介します。防災DXの活用や防災教育、住民との連携など、地域防災力向上に役立つヒントや、災害に備えるための実践的なアイデアを解説します。

近年、自然災害が頻繁に発生し、規模も大きくなっています。そのため、自治体には従来以上に幅広く、高度な防災対策が求められるようになりました。

自治体における防災の重要性は認識しているものの、「どこから着手すればよいのか分からない」「他の自治体はどのように取り組んでいるのか知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、防災DXの導入や住民との連携、防災教育など、全国の自治体が実践する多様な取り組みの中から、TOPPANが支援した具体的な事例をご紹介します。現場での実践を通じて得られた知見をもとに、災害リスクに備えて今できる対策を考えるヒントとして、参考にしてみてください。

自治体による防災の取り組み事例

大規模な自然災害が相次ぐなか、被害を最小限に抑えるためには、平時から災害を想定して備えることが求められています。堤防整備や建物の耐震化といったハード面の対策に加え、住民が自ら判断して行動できるよう、防災教育や避難情報の発信といったソフト面の対策が重要です。

参考:緊急情報配信ツール「Con:tegration®」|TOPPAN BiZ

ここでは、全国の自治体が取り組んでいる防災対策から、TOPPANが支援したソフト面の事例をご紹介します。

【三重県】デジタルコンテンツによる児童・生徒向け防災学習

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三重県では、新型コロナウイルス感染症の影響で避難訓練の実施が難しくなった学校現場を支援するため、防災教育用のデジタルコンテンツを導入しました。南海トラフ地震や台風・豪雨などの自然災害が懸念されるなか、児童・生徒が自ら命を守る「自助」の力を身に付ける防災教育が重要です。

このコンテンツでは、教室・運動場・通学路など、地震発生時の5つの場面の避難行動を360°動画で視覚的に学べます。また、小学校低学年から高校生までの4段階に応じた学習教材を作成しました。外国人児童も学習が進められるよう、多言語にも対応しています。

参考:防災学習を支えるデジタルコンテンツの提供および教育支援の実施|事例紹介|TOPPAN SOCIAL INNOVATION

【長野県飯綱町】ため池の水位確認など山間部の見回り業務を自動化

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長野県飯綱町では、山間部に点在するため池や、狩猟用の罠の見回りに多くの時間と労力を要していることが課題となっていました。そこで、消費電力が少なく、広域・長距離通信が可能な「LPWA(Low Power Wide Area)」を活用し、各地点に設置したセンサーにより水位・雨量・積雪・温湿度などのデータを遠隔で常時モニタリングできる体制を整備しました。

異常が検知されると即座にアラートメールで通知される仕組みとなっており、積雪時などで現地確認が難しい状況でも、迅速な対応が可能です。さらに、除雪車にはGPSを搭載し、出動状況の「見える化」も実現しました。

こうしたセンサーの導入は、災害が起こった際の迅速な初動対応につながります。

参考:山間部での高負荷な見回り業務をセンサーで自動化|事例紹介|TOPPAN SOCIAL INNOVATION

参考:LPWAとは?|TOPPAN Biz

【香川県善通寺市】災害時に緊急情報を発信する戸別送受信機の導入

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香川県善通寺市における防災上の課題となっていたのは、災害時に防災無線が届かない住民への情報伝達です。特に高齢者や障がいのある方など、避難に支援を要する住民への対応が求められていました。

そこで同市では、そうした避難行動要支援者に向けて、戸別送受信機「あんしんライト®」を配布しました。LEDの光と音声で避難情報を即時に伝えることで、視覚・聴覚に障がいがある方にも対応できる仕様となっています。

機器は工事不要で設置でき、職員が直接訪問して設置と使用説明を行ったことで、導入のハードルも低減されました。また、双方向通信機能により、故障や電源切れをクラウドで常時監視できるため、運用面でも高い信頼性があります。

防災訓練や豪雨時の避難情報の伝達に効果を発揮し、安心・安全な地域づくりに貢献する取り組みのひとつです。

参考:住民の安心・安全と見守りを支援|事例紹介|TOPPAN SOCIAL INNOVATION

参考:自治体向け住民見守りサービス「あんしんライト」|TOPPAN Biz

【徳島県牟岐町】リアルな被災疑似体験ができるVRコンテンツ制作

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徳島県牟岐町では、南海トラフ地震による津波被害を想定し、住民一人ひとりの防災意識を高めるために、VR技術を活用した被災疑似体験コンテンツを制作しました。

津波発生時の避難行動や、適切な避難ができなかった場合の危険性を、リアルな映像と音で体感できる内容となっており、災害を自分事として捉える意識を育む効果が期待されています。

コンテンツは、町内の防災訓練や小中学校での防災教育にも活用が可能です。幅広い世代に避難の重要性を学んでもらうことで、地域住民の自発的な防災行動を促進し、町全体の防災力向上に貢献する取り組み事例です。

参考:住民の防災意識を高めるためには?災害体験VR制作事例|事例紹介|TOPPAN SOCIAL INNOVATION

参考:災害体験VR|TOPPAN Biz

【香川県三豊市】楽しく防災知識を学べるデジタル防災教材の活用

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地震や水害などの自然災害が増えるなか、学校における防災教育の重要性は高まっています。しかし、従来の避難訓練に偏った学習では実践的な防災力が身につきにくく、また、コロナ禍により集合型訓練の実施が難しいという課題もありました。

こうした背景を踏まえ、三豊市では全国に先駆けて、児童・生徒がクイズ形式で楽しみながら防災を学べるデジタル防災教材「デジ防災®」を導入。1回10分で取り組める全80の専門家監修コンテンツを通じて、学年ごとに段階的な学習が可能です。

また、習熟度の可視化や教員支援機能も備えており、学校現場での防災教育のサポートや、地域全体の防災意識向上に貢献しています。

参考:小中学生向けのデジタル防災教材を導入|事例紹介|TOPPAN SOCIAL INNOVATION

参考:デジタル防災教育・学習システム「デジ防災®」|TOPPAN Biz

【岩手県】被災の記録を後世に残す震災デジタルアーカイブ

東日本大震災による被害や復興の歩みを未来へ伝えるため、岩手県では「震災デジタルアーカイブ」の構築に取り組んでいます。震災当時の状況やその後の復興プロセスを誰でも閲覧できる形で整理し、県内外から集めた約20万点におよぶ写真・動画・証言記録などをデジタル化しました。さらに、これらの資料をWeb上で公開しています。

このアーカイブは、災害の記憶を風化させないための取り組みだけでなく、防災・減災の研究や学校での復興教育、地域交流の場としても活用可能です。被災地の経験と教訓を国内外へ発信することにより、今後の災害への備えにもつながる貴重な情報基盤となっています。

参考:貴重な被災地域の記録を収集し、経験・教訓を後世に残す|事例紹介|TOPPAN SOCIAL INNOVATION

防災の取り組み事例をヒントに今できることから始めよう

災害リスクが高まっている昨今、住民の命と財産を守るためには、住民一人ひとりの防災意識を高める取り組みが重要です。全国の自治体では、防災DXや住民連携、防災教育など多様な実践が進んでいます。

こうした事例を参考に、自分たちの地域で今できる対策に取り組むことで、将来への備えにつなげることが可能です。

TOPPANでは、自治体向けの防災・減災支援サービスを提供しています。防災対策の取り組みに関するご相談やお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

自治体向け防災・ 減災支援サービス|TOPPAN SOCIAL INNOVATION

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TOPPAN SOCIAL INNOVATION WEB 編集部

参考文献

  • 防災情報のページ|内閣府 (https://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/torikumi/jkr/jt.html)
  • 防災に関する自治体の取り組み|ぼうさい 令和3年 冬号(第100号) (https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/r02/100/pdf/bs100_3.pdf)
  • 地域における住民の防災意識の向上(災害教訓の伝承)に関する調査|総務省 (https://www.soumu.go.jp/main_content/000964377.pdf)

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