2026.02.02
新しい鑑賞体験!正倉院の宝物の美と価値を伝えるデジタル技術
TOPPANが共催する正倉院初の体感型展覧会「正倉院 THE SHOW」が、2025年9月20日(土)~11月9日(日)まで、東京・上野の森美術館にて開催されました。
夏に開催された大阪に続いて、9~11月に開催された東京会場(上野の森美術館)。連日多くの人で賑わった
TOPPANが共催する正倉院初の体感型展覧会「正倉院 THE SHOW」が、2025年9月20日(土)~11月9日(日)まで、東京・上野の森美術館にて開催されました。
高さ約4メートル、幅約20メートルの巨大スクリーンに映し出される宝物の超高精細映像や約1300年もの間、守り続けられてきた正倉院宝物の姿を再現した「再現模造」が注目を集め、これまでにない鑑賞体験が話題となりました。
2019年から宮内庁正倉院事務所とTOPPANは協力し、「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」をはじめとする宝物のデジタルアーカイブを実施してきました。正倉院宝物の精緻なアーカイブデータは、最新の3次元計測や高精細写真撮影、質感取得技術を駆使して作成しました。デジタルアーカイブを活用した本展をご紹介します。
宝物の美に没入する体験
最も大きな展示室で目に飛び込んで来るのは、高さ約4メートル、幅約20メートルの巨大なスクリーンです。そこに映し出される巨大な宝物の美しさに、人々は思わず息をのみます。
来場者を時の彼方へ導く圧倒的な映像体験
厳格に保存され、通常は間近で観ることの難しい正倉院の宝物が、超高精細映像で次々に登場する「デジタル宝物映像」は、TOPPANが制作を担当しました。2019年から蓄積してきた正倉院宝物の3Dデジタルデータをもとに、超高精細な映像として作り上げたものです。
宝物の光沢、細部に施された文様や質感まで、目の前に宝物の実物が迫ってくるかのような臨場感があります。
スクリーンには2023年のノーベル賞技術「量子ドット」を応用して作られた特殊塗料を採用し、国内の展覧会では初めての導入となりました。(提供:イマーシブ社)
これまでの一般的なスクリーン投影では表現が難しかった鮮やかな色彩や光の反射、質感の表現度を高め、宝物の持つ魅力を会場で体感できます。来場者は、約1300年前の奈良時代へタイムスリップした感覚になったことでしょう。
巨大スクリーンに映し出された宝物。多くの来場者がスクリーンに見入っていた
スクリーンだけでなく床面にも投影された映像が没入体験を促す
来場者を包み込むように設計した正面のカーブスクリーンだけでなく、投影は床面にまで広がっていることに気づきます。床に腰をおろした来場者は文字通り、映像に包まれるのです。
約1300年前の宝物の使用状況の再現
「銀薫炉」の映像内では、3Dデジタルデータならではの表現が光ります。この香炉は、ゆらゆらと揺れて香りを広げる独特の仕組みですが、実物を当時のように動かすことは難しいです。そこでTOPPANの技術により、実際に香を焚いている様子や、揺れる動きを忠実に再現しました。来場者からは「1300年前の使い方をこんなふうに見ることができるなんて」と驚きの声が聞かれました。
銀薫炉
宝物の細部を超拡大し魅力再発見
高精細のアーカイブデータの活用で捉えづらい宝物の細部も、拡大して鮮明に見せることができます。その一例が「墨絵弾弓」です。幅3cm未満の弓に、演奏や舞に興ずる人々の様子が描かれています。肉眼では細部まで確認が難しいような表情、愛嬌のある振る舞いを展示では超拡大し、現代において魅力が再発見されるようです。
「墨絵弾弓」には100人近い人々の表情や仕草が丁寧に描かれている
現代アーティストの作品にも 3Dデジタルデータを活用
正倉院の宝物を現代に伝える試みの一環として、多分野の現代アーティストとのコラボレーションが企画されました。
デザイナー・篠原ともえさんによる服飾作品は、ペルシア風の水差し「漆胡瓶(しっこへい)」をモチーフに制作されたドレスで、ここにもTOPPANの3Dアーカイブデータが活用されました。
宝物の膨らみ、独特のフォルムがドレスの立体的な成形に活かされ、宝物の形状を正確に落とし込むために、3Dデジタルデータの存在が役立ったと言えるでしょう。伝統と現代を融合させた作品の背後に、TOPPANの技術があります。
3Dデジタルデータを活用して篠原ともえさんがデザインしたドレスの展示 PHOTO: SAYUKI INOUE
文化財デジタル化の社会的意義
高精細なデジタルアーカイブは、展示以外にも活用の幅が広いものです。研究者による詳細な分析、教育現場での活用、さらには修復時の参照資料としても価値を持ちます。
『伝える』技術で文化を未来へつなぐ。
TOPPANが長年の取組みで培ってきた3次元計測や高精細写真撮影、質感取得技術、画像処理技術、印刷技術などが複合的に作用し、文化財の保存と活用というフィールドにも応用されています。
おわりに
宝物そのものを展示せずに、どこまで魅力を伝えられるかという挑戦は、通常の鑑賞では見ることのできない宝物の内部構造を見ることができたり、直接触れることのできない宝物の質感や当時の使われ方まで再現するなど新しい付加価値を生み出しました。
物理的制約があったからこそ、デジタル技術の長所が発揮できたとも言えます。本展は文化財の「保存」と「公開」を両立させる新しいモデルを示しています。
展覧会名:「正倉院 THE SHOW-感じる。いま、ここにある奇跡-」
● 開催期間(東京):2025年9月20日(土)~11月9日(日)
● 会場:上野の森美術館
● 主催:上野の森美術館、「正倉院 THE SHOW」実行委員会
(読売テレビ、読売新聞社、TOPPAN、角川メディアハウス)
日本テレビ放送網、BS日テレ
● 監修:宮内庁正倉院事務所
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