2026.01.29

自治体の窓口DXとは?現場課題を解決するデジタル化と改善のポイント

自治体にとって窓口業務のDXは、住民サービス向上と業務効率化を同時に実現するための重要な取り組みです。本記事では、自治体窓口DXの概要や重要性、具体的な施策、成功事例、実施のポイントをご紹介します。

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昨今、自治体を取り巻く環境は大きく変化しています。そんな中、住民サービス向上と業務効率化を図る窓口業務のDXは、重要度の高い取り組みの1つです。

本記事では、自治体窓口DXの概要や重要性、具体的な施策、成功事例をご紹介し、持続可能な自治体運営につながるポイントをわかりやすく解説します。

この記事で分かること

・自治体窓口DXの概要
・自治体窓口DXの具体的な成功事例
・自治体窓口DXを進める上でのポイント

自治体の窓口DXとは

自治体の窓口DXとは、従来の「紙に記入して窓口に提出し、複数の部署を回って待つ」といった煩雑な行政手続きを、デジタル技術によって削減・省略する取り組みを指します。

具体的には、「書かない・待たない・回らない」ワンストップ窓口を実現することで、住民の負担を軽減しながら、手続きをよりスムーズかつ効率的に行なえる環境を整備することが目的です。

窓口DXは、住民の利便性向上だけでなく、窓口で対応する自治体職員にとっても、手書き書類の確認や説明、複雑な事務処理といった業務負荷の軽減につながり、行政サービス全体の効率化と品質維持に寄与します。

こうした取り組みを後押しするため、デジタル庁では技術的・制度的な基盤として、共通クラウド環境で利用できるパッケージ型サービス群「自治体窓口DXSaaS」を整備しています。自治体は自らの課題に応じて最適なサービスを選び、段階的に導入することが可能です。

なお、DXの推進にはシステムを導入するだけではなく、窓口業務とバックヤード業務を含めた業務改革(BPR)を伴う、組織的な業務フローの見直しが必要です。

自治体に窓口DXが求められている理由

自治体の窓口業務では、住民からの「書類が多い」「複数の窓口を回らなければならない」「待ち時間が長い」といった声もあり、行政手続きに時間と手間がかかる点が課題となっています。特に、転入・転出や子育て、介護といったライフイベントにかかわる手続きは内容が複雑で、何を申請すればよいのか分かりにくいという不便さも指摘されています。

一方、自治体職員側でも、住民対応の増加に加え、書類のチェックや転記といったアナログ業務が膨大で、業務負荷が大きくなっているのが実情です。人口減少や人手不足が進む中、従来の業務フローのままではサービス品質の維持が難しくなっているといえます。

住民・職員双方の負担を軽減し、効率的で分かりやすい手続き環境を実現するために、窓口DXの推進が強く求められています。

自治体の窓口DX施策の具体例

窓口手続きの効率化と住民サービス向上を目的に、各自治体ではさまざまなDX施策が進められています。基盤となるクラウドサービスの活用をはじめ、申請書作成の自動化や、住民対応を支援するAIツールなど、導入手段は多様です。

TOPPANでも、「行かない窓口」「書かない窓口」を実現するフロントヤードのデジタル化支援をはじめ、さまざまなソリューションを提供しています。

自治体向け オンライン申請拡充と窓口デジタル化の支援サービス|TOPPAN BiZ


ここでは、代表的な窓口DX施策として、SaaS導入や申請書自動作成ツール、AIを活用した問い合わせ対応の自動化、AI通訳など、現場で効果を発揮する施策をご紹介します。

自治体窓口DXSaaSの導入

自治体窓口DXSaaSは、住民の「書かない・待たない・回らない」手続きを実現するためのクラウド型サービスです。手続き内容を分かりやすく案内するガイダンス機能や、申請書の自動作成、マイナンバーカードを活用した自動入力など、窓口業務の効率化と利便性向上を支援するための機能を備えています。

自治体は、複数の事業者が提供するサービスの中から、課題や運用方針に合ったものを選択することが可能です。

導入する際は、システム活用とあわせて業務フローの見直し(BPR)を行うことで、より高いDX効果が期待できます。

申請書自動作成

申請書自動作成は、住民が窓口でタブレットに必要事項を入力するだけで、申請書を自動生成できる仕組みです。

手書き記入による書き直しや記入漏れが抑制され、住民の負担を大幅に軽減できます。また、職員側も転記や確認といった作業が不要となり、窓口対応の効率向上につながります。さらに、マイナンバーカード等の情報を自動反映することで、正確でスムーズな手続きが可能です。

TOPPANでは、国の「ぴったりサービス※」と連携した「窓口タブレット申請システム」を提供しており、手軽な窓口デジタル申請を支援しています。
※ぴったりサービス:マイナンバーカードを用いて行政手続きをオンラインで行える政府提供のサービス

自治体向け 窓口タブレット申請システム|TOPPAN BiZ

AIを活用した問い合わせ対応の自動化・効率化

AIを活用した問い合わせ対応の自動化・効率化も、自治体窓口DXの重要な施策の一つです。

例えば、住民からのよくある問い合わせに対し、生成AIが24時間自動で回答するチャットボットなどが挙げられます。手続き方法や必要書類などの基本情報を即時に案内できるようになることで、住民の利便性が向上します。また、チャット履歴や質問傾向の分析は、回答精度の向上や業務フローの見直しにも活用可能です。

さらに、ツールによっては窓口や電話での案内を無人化することもでき、有人対応においても、AI活用による効率化と応対品質の向上を図れます。

TOPPANは、多言語対応のAIチャットボットの設計・運用を支援しています。端末を通じた自動接客や、窓口での案内業務に適したタッチパネル型サイネージ、有人友人対応へのAI活用など、ニーズに合わせたご提案が可能です。

多言語AI 接客サイネージBotFriends® Vision|TOPPAN BiZ

AIで市民対応を最適化|コスト削減と市民満足度向上を実現|TOPPAN BiZ

AI通訳

AI通訳は、外国人住民との会話をリアルタイムで翻訳し、窓口でのコミュニケーションを円滑にする仕組みです。多言語対応によって言語の壁を解消し、誰もが安心して行政手続きを行える環境を整えられます。

職員が専門的な語学力を持たなくても対応できるため、窓口対応の負担軽減にもつながります。近年は翻訳精度も向上しており、手続き内容の説明や質問への回答を誤解なく進めることが可能です。

TOPPANでは、透明ディスプレイに翻訳結果を表示し、表情を見ながら自然な対話を実現する「VoiceBiz® UCDisplay®」を提供しています。すでに、多数の自治体や企業窓口、イベントなどで導入されています。

透明翻訳ディスプレイ「VoiceBiz® UCDisplay®」|TOPPAN BiZ

自治体窓口DXの成功事例

人口減少や人手不足といった課題を背景に、全国の自治体で窓口DXの導入が進んでいます。申請手続きの簡素化や待ち時間の短縮など、住民の負担軽減と職員の業務効率化を両立し、現場で着実な効果を上げている事例も増えています。

TOPPANは、各自治体の状況や課題に寄り添いながら、窓口DXの導入と業務改革を総合的に支援してきました。ここでは、TOPPANが支援させていただいた自治体の具体的な取り組みを取り上げ、DXがどのように成果へと結びついたのかをご紹介します。

「行かない」「書かない」窓口の同時実現による行政DX

財政面・技術面の課題から、DXが部分的な取り組みにとどまっていた指宿市では、住民利便性の向上と職員の業務効率化を同時に実現する「指宿モデル」の構築に着手しました。

同モデルは総務省のフロントヤード改革モデル事業としても採択され、低コストかつ職員の負担を抑えながら、自ら運用・改善できるDXの仕組みづくりにつながっています。

具体的には、「ぴったりサービス」とTOPPAN開発の「窓口タブレット申請システム」を連携し、「行かない窓口」と「書かない窓口」を同時に実現しました。さらに、オンライン申請と窓口でのデジタル申請データを一元管理することで、後続業務の効率化に成功しました。

また、各課向けの勉強会を通じてDXマインドを醸成し、職員が主体的に取り組む自走体制の構築も行っています。将来的なデータ連携や業務自動化、証明書のデジタル化も見据え、行政DXの拡大を継続的に進めている事例です。

参考:行政DX推進に向けたぴったりサービス活用による「行かない」「書かない」 窓口の同時実現|事例紹介|TOPPAN SOCIAL INNOVATION

【インタビュー】「これで皆はハッピーになるか?」指宿市とTOPPANが実践した住民と職員に寄り添うフロントヤード改革

多様な人々との円滑なコミュニケーションを支援する窓口DX

文京区の窓口ではこれまで、発声や聴取に不安のある方への筆談対応や、外国人住民への翻訳アプリ活用などが行われていましたが、「説明に時間がかかる」「内容が正確に伝わりにくい」といった課題がありました。こうした背景から、言語や身体的制約に左右されることなく、誰もが自然に意思疎通できる「ユニバーサルコミュニケーション」の実現が求められています。

文京シビックセンターが課題解決のために実施したのが、窓口向けユニバーサルコミュニケーションサービス「VoiceBiz® UCDisplay®」の導入です。障害福祉課および幼児保育課に設置し、会話内容をリアルタイムで表示することで、正確かつ円滑なコミュニケーションを実現しています。窓口対応の質向上と、誰もが安心して利用できる窓口環境づくりに貢献している事例です。

参考:ユニバーサルコミュニケーション支援事例~窓口でのコミュニケーション円滑化を推進~|事例紹介|TOPPAN SOCIAL INNOVATION

「ぴったりサービス」を活用したデジタル申請拡充

古賀市では、行政手続きのオンライン化に対する住民ニーズの高まりを受け、2022年4月、TOPPANと行政DXに関する連携協定を締結しました。同協定では、電子申請可能な手続きの拡充を軸に、市民サービスの向上と行政事務の効率化を目指しています。

具体的な取り組み内容は、国の「ぴったりサービス」の活用に向け、子育て・介護分野における手続きの掲載・拡充の検討や、説明文のユーザビリティの改善、積極的な改善要望の提案などです。TOPPANが登録作業の支援・代行を行うことで職員負担を軽減し、使いやすく持続可能な行政DXの実現に取り組んでいます。

参考:古賀市と凸版印刷、行政デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に関する協定

自治体の窓口DXを成功させるポイント

自治体の窓口DXを成功させるためには、単なるツール導入にとどまらず、業務全体を見据えた取り組みが重要です。ここでは、現場負担の軽減や住民利便性の向上を実現するための具体的なポイントを解説します。

段階的な導入で現場負担を最小化する

窓口DXを進める際には、初期コストや運用負荷を抑えつつ、現場職員や住民の混乱を避けることが欠かせません。そのためには、すべての窓口を一度にデジタル化するのではなく、特定の手続きや窓口から段階的に導入することがポイントです。

まずは影響範囲の小さい業務で効果を検証し、運用状況を確認しながら改善を重ねることで、現場に無理なくDXを浸透させられます。段階的な導入により、課題を早期に把握・修正でき、最終的には「書かない・待たない・回らない・ワンストップ窓口」への移行をスムーズに実現する体制づくりにつながります。

住民視点での業務フロー改善とUI設計

窓口DXを定着させるには、行政サービスの利用者である住民の視点に立った業務フロー改善とUI設計が不可欠です。住民が迷わず手続きを進められるよう、複雑な窓口業務を住民目線で整理することが求められます。

手続き内容や必要書類を分かりやすく示すことで、説明や問い合わせの窓口担当者側の負担も軽減できます。

また、タブレットやオンライン申請画面は、直感的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)になるよう工夫し、年齢やITリテラシーを問わず使いやすい設計とすることが重要です。住民の行動導線に沿った案内表示により、窓口滞在時間の短縮とストレスのない手続き体験を実現できます。

職員教育と運用サポートを含む継続的な改善体制の構築

新システムを最大限に活かすためには、職員への継続的な支援も必要です。導入時には操作研修やトレーニングを計画的に実施し、運用開始後も問い合わせや課題に迅速に対応できるサポート体制を整えることで、現場の不安を軽減できます。

さらに、利用状況や住民の声を定期的に分析し、業務フローや設定を見直すこともポイントです。DXを「導入して終わり」にせず、改善を積み重ねる体制の構築は、安定した運用とサービス品質の向上につながるでしょう。

BPR(業務改革)を前提としたシステム活用

自治体の窓口DXの成功には、BPR(業務改革)を前提としたシステム活用が必須となります。BPR(Business Process Re-engineering)とは、既存の業務プロセスを抜本的に見直し、手続きや役割分担を再構築・最適化する考え方です。

自治体の窓口DXにおいても、自治体窓口DXSaaSなどのシステムを導入する前に、まず窓口業務やバックヤード業務の流れを整理・再設計するBPRを行う必要があります

具体的には、手続き全体の流れや窓口・裏方業務の連携、手続きの抜本的な簡素化を検討し、「デジタルで完結する」「情報の重複提出を避ける」「複数サービスをワンストップで提供する」といった設計を目指すことが重要です。

こうした業務改革を行わずにシステムだけを導入すると、かえって事務処理が増えたり、業務が複雑化したりするリスクがあります。

BPRによって「目指す窓口の姿(ゴール)」を明確にした上で、必要な機能を備えたSaaSを選定・活用することで、システムの能力を最大限に活かせます。業務改革とシステム活用をセットで進めることが、住民の利便性向上と自治体業務の効率化を両立させるためのポイントといえるでしょう。

窓口DXで持続可能な自治体運営と住民サービスを両立

窓口DXは、業務効率化と住民サービスの質向上を同時に実現し、自治体運営の持続可能性を高める取り組みです。デジタル技術の活用により、手続きの煩雑さや待ち時間、職員の業務負荷といった課題を抜本的に改善できます。

多様な住民に対応できるコミュニケーション支援や、問い合わせ対応の効率化など、現場の課題に寄り添った施策を行うことが重要です。業務改革(BPR)を進めつつ、段階的かつ継続的に窓口DXを進めることで、導入効果を最大化できます。他自治体の事例を参考に、地域特性に応じたDXを推進し、魅力ある自治体サービスの実現を目指しましょう。

TOPPANでは、自治体窓口DXを総合的に支援する取り組みを行っています。窓口DXの進め方にお悩みの際は、ぜひご相談ください。

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TOPPAN SOCIAL INNOVATION WEB 編集部

参考文献

  • 自治体窓口DX「書かないワンストップ窓口」|デジタル庁(https://www.digital.go.jp/policies/cs-dx)
  • 自治体窓口DXSaaS|デジタル庁(https://www.digital.go.jp/policies/cs-dx/dxsaas)

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