2026.05.08

窓口での翻訳対応をスムーズに!自治体向け多言語コミュニケーションの導入事例とポイント

自治体窓口での多言語対応は、行政サービスの公平性や防災の観点からも欠かせません。本記事では翻訳ツールの種類や先行自治体での導入事例、運用のポイントをわかりやすく解説します。

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在留外国人の増加や来庁者ニーズの多様化により、自治体窓口では、これまで以上に高度な多言語対応が求められています。しかし、現場では通訳人材の不足や対応の属人化、誤訳リスクへの不安などの課題も少なくありません。

本記事では、こうした背景を踏まえ、翻訳ツールの種類やTOPPANのソリューション、導入事例、運用のポイントを整理し、誰もが安心して利用できる窓口づくりのヒントを解説します。

この記事で分かること

・自治体窓口業務における翻訳・多言語対応の必要性
・窓口の翻訳・多言語対応の導入事例
・窓口の翻訳・多言語対応を進めるポイント

自治体窓口で翻訳・多言語対応の強化が求められる理由

言葉の壁によるコミュニケーションの停滞に、課題を抱えている自治体窓口は少なくありません。限られた人員とリソースのなかで住民への対応を円滑に進め、行政サービスの質を維持することが求められています。なぜ今、翻訳・多言語対応の強化が急がれているのか、具体的な背景を解説します。

在留外国人の増加と相談内容の多様化

日本における在留外国人は増加傾向にあります。自治体窓口ではこれに伴い、英語・中国語に加えてポルトガル語やベトナム語など、対応が求められる言語が急速に多様化してきました。言語や文化の違いから、行政手続きや生活相談における意思疎通の難しさも顕在化しています。

さらに、就労・留学・家族帯同など背景の多様化に伴い、自治体窓口での対応ニーズも拡大しており、電話通訳や翻訳アプリだけでは対応に限界が生じている状況です。

その結果、誤訳の発生や待ち時間の増加など、住民満足度の低下につながる可能性も指摘されています。

職員の負担・属人化の深刻化

言語の壁により一件あたりの対応時間が長時間化し、対応する職員の負荷を増加させる要因となっています。通訳手配や電話通訳の接続待ちも業務効率を低下させる一因です。

また、多言語対応は職員の心理的負担も増大させます。専門用語や制度を正確に伝える必要があるプレッシャーと、機械翻訳の誤訳リスクへの不安から、確認や説明のやり直しが発生することも少なくありません。

特定の言語ができる職員がいる場合、対応がその職員に集中し、属人化が進んでしまうという問題もあります。

災害時・緊急時の安全確保

避難情報や警報などを迅速かつ正確に伝える必要がある災害発生時には、言語の壁が重大なリスクとなります。外国人は地域の防災情報や避難行動に関する知識が十分でない場合も多く、適切な情報提供が不可欠です。

誤訳や情報伝達の遅れは避難の遅延や誤行動を招き、人命に関わる恐れがあります。緊急時の混乱を最小限に抑えるためには、平時から多言語での情報発信や窓口対応体制を整備することが重要です。

多言語対応ツールを活用した即時的な意思疎通により、誰一人取り残さない防災体制の構築が求められています。

誰もが利用しやすい窓口づくりの必要性

2024年4月に改正法が施行された「障害者差別解消法」により、合理的配慮の提供が行政・事業者双方に義務化され、“誰一人取り残さない”窓口対応が求められています。

合理的配慮は、言語の壁を含む社会的障壁の解消を目的としており、外国人対応においても適切な情報伝達手段の整備が必要です。聴覚障がい者や高齢者、外国人といった多様な来庁者に対し、正確かつ公平に意思疎通できる環境づくりが急務となっています。

自治体窓口で活用できる翻訳ツール

増加・多様化する外国人対応に向け、自治体窓口では即時性と正確性を兼ね備えた翻訳ツールの導入が進んでいます。従来のような人による通訳に加え、AI翻訳や音声認識などを活用した新たなコミュニケーション手段が注目されています。

対面コミュニケーションを妨げないUIや行政用語への対応など、窓口業務に特化したソリューションを活用することで、業務効率化と住民満足度の向上を同時に実現することが可能です。ここでは、こうした課題解決に資するTOPPANの多言語対応ソリューションをご紹介します。

自治体・地方公共団体向け 多言語音声翻訳アプリ「VoiceBiz®」

「VoiceBiz®」は、スマートフォンやタブレットにアプリをインストールするだけで利用でき、窓口業務の多言語化を手軽に実現できる翻訳アプリです。

音声を自動認識して翻訳することにより、会話形式で自然かつスムーズなコミュニケーションを支援します。行政・自治体特有の専門用語や言い回しにも対応しており、正確性の高い翻訳が可能です。

さらに、よく使う案内や定型文の事前登録により対応の効率化・標準化にも役立ちます。音声翻訳は13言語、テキスト翻訳は30言語に対応しており、多様な外国人住民への対応をカバーできます。国内サーバーと国産AI翻訳エンジンにより、セキュリティ面でも安心して運用可能です。

自治体・地方公共団体向け 多言語音声翻訳アプリ「VoiceBiz®」|TOPPAN

窓口向け透明翻訳ディスプレイ「VoiceBiz® UCDisplay®」

「VoiceBiz® UCDisplay®」は、音声認識した内容を高精度に翻訳し、透明ディスプレイ上にリアルタイムで字幕表示することで、多言語での円滑な意思疎通を実現します。透明ディスプレイの特性により、「相手の顔」と「翻訳結果」を同時に確認でき、対面コミュニケーションを妨げることなく自然な会話が可能です。

13言語に対応しているほか、自治体業務で頻出する用語の登録にも対応するなど、窓口業務に適した高精度な翻訳を提供します。

音声入力に加えてキーボード入力にも対応しており、聴覚障がい者や発話が難しい方とのコミュニケーションにも活用可能です。指向性マイクにより騒がしい環境でも音声認識精度を確保し、窓口業務の効率化と職員負担の軽減に寄与します。

加えて、サイネージとしての活用も可能で、待ち時間の情報提供や各種案内など、窓口の付加価値向上にも貢献します。

透明翻訳ディスプレイ「VoiceBiz® UCDisplay®」|TOPPAN

狭いスペースにも設置可能な透明翻訳ディスプレイ「UCDisplay® Air」

「UCDisplay® Air」は、狭小な窓口や限られたスペースでも導入しやすい小型・軽量の透明翻訳ディスプレイです。空間に設置するため大きな設置面積を必要とせず、小型窓口や小売店舗、バスの乗降口など多様な場所に対応可能です。

利用環境に応じた専用器具の個別設計にも対応し、柔軟な設置を実現します。さらに、利用者の目線の高さに合わせて配置することで、相手の表情と翻訳テキストを同時に確認でき、自然なコミュニケーションを支援します。

TOPPAN、空間に設置する翻訳ディスプレイ「UCDisplay® Air」提供開始

多言語AIデジタルアシスタント「BotFriends®Vision」

「BotFriends® Vision+」の駅改札設置イメージ(左)と「BotFriends®Vision」の駅構内設置イメージ(右) © Toppan Printing Co., Ltd.

「BotFriends®Vision」は、AIチャットボットとアバターを組み合わせ、利用者との対話を通じて案内を行うデジタルサイネージ型の多言語対応ソリューションです。音声やテキストでの質問に対し、施設案内や周辺情報を自動で回答し、窓口・案内業務の無人化・省人化を実現します。

高性能な機械翻訳エンジンにより多言語対応が可能で、外国人対応の質とスピードの向上に寄与します。AIによる自動応答と遠隔からの有人対応を組み合わせたハイブリッド運用により、柔軟な対応が可能です。

TOPPANでは、FAQ設計から機器提供、運用改善までワンストップで提供しており、継続的な精度向上と業務最適化に貢献します。公共施設や駅などでの導入実績があり、案内業務の効率化と職員負担の軽減に役立つでしょう。

多言語AI 接客サイネージBotFriends® Vision|TOPPAN

窓口向け翻訳ツールの導入事例

多言語対応の必要性が高まる中、自治体窓口における翻訳ツール導入による具体的な成果が各地で報告されています。特に高く評価されているのは、対面コミュニケーションを維持しながら翻訳できる仕組みです。TOPPANのソリューションを活用した代表的な導入事例をご紹介します。

透明翻訳ディスプレイによる窓口対応の円滑化|文京区

東京都文京区の窓口では、外国人住民に筆談や外国語対応可能な職員、翻訳アプリで対応していたものの、説明に時間がかかることや正確性に課題がありました。また、外国人だけでなく、発声しづらい方や聴覚に配慮が必要な方など多様な来庁者に対する円滑な意思疎通の必要性も高まっていました。

こうした状況を受けて、言語や文化、身体的制約に関係なく理解し合える「ユニバーサルコミュニケーション」の実現として、窓口向け透明翻訳ディスプレイ「VoiceBiz® UCDisplay®」を導入。文京シビックセンターの障害福祉課および幼児保育課に設置し、対面での自然な会話と情報伝達の正確性向上につなげています。

参考:ユニバーサルコミュニケーション支援事例~窓口でのコミュニケーション円滑化を推進~|事例紹介|TOPPAN SOCIAL INNOVATION

多言語翻訳アプリで専門スタッフ以外でも意思疎通が可能に|宇都宮市

栃木県宇都宮市では在留外国人が増加傾向にあり、その国籍は80か国に及びます。しかし、外国人住民の生活支援を目的とした「国際交流プラザ」では、英語・中国語以外に対応できるスタッフが常駐しておらず、対応の遅れが課題となっていました。

そこで、多言語音声翻訳アプリ「VoiceBiz®」を導入し、主な窓口に設置。「VoiceBiz®」は、自治体特有の用語プリセットが充実している点が特徴であり、専門知識がなくても一定の精度で対応が可能です。

導入後は、外国人住民が気軽に来所できる環境が整い、専門スタッフ以外でも円滑な意思疎通が可能となるなど、窓口業務の効率化につながっています。

参考:多言語対応DX!自治体窓口での外国人対応サービス向上事例

透明翻訳ディスプレイによる観光案内で観光の質を向上|羅臼町

知床の玄関口である道の駅「知床・らうす」では、急増する外国人観光客への対応が課題となっていました。従来のスマホ翻訳では視線が下がりやすく、会話が途切れがちになる点にも課題がありました。

透明ディスプレイ上に翻訳結果が表示される「UCDisplay®」を導入したことで、目線を合わせたままスムーズに会話ができるようになり、スタッフの負担軽減と来訪者の満足度向上につながっています。音声認識が難しい場合でも、キーボード入力によって柔軟な対応が可能です。

参考:観光案内所の多言語対応と業務効率化を両立!知床・羅臼観光の質の向上に貢献

窓口の翻訳・多言語対応を進める際のポイント

多言語対応は単なるツール導入にとどまらず、窓口全体の業務設計や運用ルールと一体で検討することが重要です。窓口業務全体を見直す「フロントヤード改革」の一環として推進することで、持続可能な行政サービスの実現につながります。ここでは翻訳ツールを導入する際に押さえておきたいポイントを解説します。

窓口の動線や相談内容でツールを使い分ける

来庁者の目的や手続き内容に応じて、最適な翻訳手段を選択しましょう。受付・案内段階ではサイネージやAI案内、詳細な相談では対面型翻訳ツールを活用するなど、動線に沿った使い分けが効果的です。

簡易な案内は自動化し、複雑な手続きは職員対応と組み合わせることで、業務効率と対応品質を両立しやすくなります。

さらに、言語だけでなく聴覚や発話に配慮したツールを配置することで、ユニバーサルな窓口環境の実現も可能です。各ツールの役割分担の明確化により、混雑緩和とスムーズな対応につながります。

セキュリティの確認

自治体窓口では、氏名や住所、在留資格などの個人情報を扱うため、翻訳ツールのデータ管理体制を事前に確認することが重要です。具体的には、通信の暗号化や国内サーバーの利用など、情報漏えい対策が講じられているかをチェックしましょう。

特にクラウド型サービスでは、データの保存有無や利用範囲(学習への使用など)を明確に把握する必要があります。万が一のトラブルに備え、ログ管理やアクセス権限の設定など運用面での対策を講じることも効果的です。

自治体のセキュリティポリシーやガイドラインに準拠しているかを確認し、安心して運用できる環境を整備しましょう。

誤訳リスクを想定したルール作り

AI翻訳は一定の精度が期待できる一方で、誤訳の可能性もゼロではありません。重要事項は必ず職員が確認する運用を徹底することが重要です。

申請内容や契約に関わる説明では、翻訳結果を鵜呑みにせず、補足説明や再確認を行うルールを整備しましょう。使用頻度の高い行政用語や定型文を事前登録・統一することで、翻訳のばらつきを防止できます。誤解が生じやすい内容は、やさしい日本語や図示を併用し、多角的に伝える工夫も有効です。

また、事前にトラブル発生時の対応フロー(再説明・記録・エスカレーション)を明確化することで、現場の負担を軽減できます。

職員・住民の心理的ハードルを下げる工夫

翻訳ツールは操作がしやすく、誰もが直感的に使えるUIを採用することが大切です。職員が抵抗なく使えることを重視しましょう。ツール活用への不安や属人化を解消するためには、職員向けの研修やマニュアル整備が有効です。成功事例やメリットの共有を通じて現場での活用を促進するといった工夫が求められます。

また、多言語対応が可能であることを窓口表示やサインで明示し、外国人住民が安心して相談できる環境を整備することも重要です。対面で表情を見ながら会話できる仕組みを取り入れることで、不安や緊張を和らげたコミュニケーションを実現できるでしょう。

フロントヤード改革をセットで進める

翻訳ツールの導入は、単独施策ではなく、窓口業務全体の見直しと一体で進めることが重要です。

来庁前のオンライン手続きや情報提供を充実させることで、窓口に来る人を減らせます。来庁者対応に関しても、受付・案内・相談の役割分担を整理して、デジタルと対面の最適な組み合わせを構築しましょう。これにより、本当に対面支援が必要なケースなどに、より手厚いリソースを割けるようになります。

バックヤード業務と連携して手続きの簡素化・処理の効率化を進めれば、さらなる効率化を図ることも可能です。

多言語対応を含めてフロントヤード全体を最適化することで、住民満足度の向上と業務効率化を両立できます。自治体によっては、すでにフロントヤード改革の一環として翻訳ツール導入が進められています。

TOPPANでは、フロントヤード改革の支援や、関連する窓口業務の負担軽減に寄与するサービスも提供しています。

自治体向け オンライン申請拡充と窓口デジタル化の支援サービス|TOPPAN BPO

自治体向け 窓口タブレット申請システム|窓口DX推進を支援|TOPPAN BPO

翻訳ソリューションの導入で誰もが迷わない自治体窓口を実現

在留外国人の増加や来庁者ニーズの多様化に対応するためには、自治体窓口における多言語対応の高度化が不可欠です。

翻訳ソリューションを活用することで、言語の壁を解消し、正確かつスムーズな窓口対応を実現できます。ツールによっては、多言語だけでなく、発声や聞き取りが難しい方にも対応できるため、“誰一人取り残さない”窓口環境の構築が可能です。

フロントヤード改革と多言語対応強化を通じて、職員の負担軽減と地域の信頼醸成を同時に達成し、持続可能な行政サービスを目指しましょう。

TOPPANでは、こうした自治体窓口における翻訳・多言語対応を支援する取り組みを行っています。翻訳・多言語対応の進め方にお悩みの際は、ぜひご相談ください。

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TOPPAN SOCIAL INNOVATION WEB 編集部

参考文献

  • 地域における多文化共生施策の推進について|総務省(https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/taikai/r05/pdf/94063301_02.pdf)

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