2026.06.03
2026年度予算のポイント|自治体が注目すべき重点テーマとは?
本記事では、2026年度予算の重点テーマや、主要な補助金・交付金を整理。自治体DX・GX・防災・物価高対策などの最新動向をふまえ、自治体が予算確保を進めるためのポイントを解説します。
国家予算は、国が毎年度編成・公表する予算です。2026年度予算では、物価高や人件費上昇、少子高齢化への対応に加え、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、自治体DX、防災といった成長投資分野への重点配分が進められています。
自治体が限られた財源の中で施策を着実に推進していくためには、国の政策動向を的確に捉え、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング/証拠に基づく政策立案)に基づく事業設計や、補助金・交付金の戦略的活用を進めることが不可欠です。
本コラムでは、2026年度予算の全体像と重点施策、自治体が注目すべき支援制度についてわかりやすく整理します。
この記事でわかること
・2026年度予算の概要
・2026年度予算の重点テーマ
・自治体が活用すべき補助金・交付金
2026年度予算の全体像
2026年度予算は、異例の暫定予算編成を経て本格的な審議が開始され、2026年4月7日に当初予算が参院本会議にて可決、成立しました。
まずは、2026年度予算の全体像と、自治体に関連する重要施策を解説します。
予算は過去最大の122兆円
2026年度予算の一般会計総額は、約122.3兆円で閣議決定され、過去最大規模を更新しました。「責任ある積極財政」の考え方のもと、成長投資と危機対応の両立を図る編成となっています。
税収増を背景に歳入が拡大したことに加え、少子高齢化にともなう社会保障関係費や国債費の増加によって、歳出も膨張しました。
さらに、物価高や賃上げへの対応、防衛力強化など複数の政策課題への対応も求められており、財政規律と成長投資を両立させながら、重点分野へ効果的に予算配分する重要性が一層高まっています。
予算案の主な内訳
2026年度予算では、社会保障関係費が約39兆円規模に達し、歳出全体の中で大きな割合を占めています。その中心として、年金・医療・介護など、高齢化の進展にともなう支出があります。 また、防衛力強化や教育無償化、物価高対策など、「国民生活と安全保障」に関わる分野への重点配分も強化されました。国債発行額は抑制傾向を維持し、約30兆円規模を継続しているものの、金利上昇により利払い費は増加しています。 自治体関連では、教育・福祉・デジタル施策などで国と地方の費用分担が拡大しており、地方財政への影響も大きくなっています。
| 主な項目 | 予算額 | 詳細 |
|---|---|---|
| 社会保障関係費 | 約39兆円 | 年金・医療・介護など高齢化対応が中心 |
| 国債費 | 約31兆円 | 金利上昇にともなう利払い費の拡大により増加傾向 |
| 地方交付税交付金等 | 約20兆円 | 地方財源の基盤として安定的に確保 |
| 防衛関係費 | 約9兆円 | 防衛力強化の継続・拡充 |
| 公共事業関係費 | 約6兆円 | インフラ老朽化対策・防災減災を推進 |
| 文教・科学振興費 | 約6兆円 | 教育無償化や研究開発投資 |
2026年度予算の重点テーマ
2026年度予算は、物価高や人件費上昇、急速な高齢化といった構造課題に対応しつつ、成長投資と財政規律の両立を図る内容となっています。限られた財源の中で政策効果を高めるために重視されているのが、EBPM(証拠に基づく政策立案)です。
国は、社会保障・防災・安全保障といった「守り」の分野に加え、GXやデジタル、成長投資など「攻め」の分野にも重点配分を実施しています。とくに自治体に関連の深い分野では、自治体DX、子育て・福祉、防災・国土強靱化、地域脱炭素、物価高対策などが引き続き重要なテーマです。
ここでは、2026年度予算における主な重点テーマを分野別に整理してご紹介します。
自治体DX推進の加速
2026年度予算では、デジタル庁主導のもと、自治体情報システムの標準化・共通化が本格展開されており、ガバメントクラウドへの移行や基幹業務システム刷新に対する財政支援が継続・強化されています。
行政手続きのオンライン化やワンストップ化を進めることで、住民サービスの利便性向上も図られています。また、AIやデータ活用による業務改革(BPR)の推進による、職員負担の軽減や人的資源の最適配分を実現することも重要なテーマです。
さらに、マイナンバー活用拡大による給付・福祉業務の高度化も進められています。今後は、ベンダーロックイン回避やコスト最適化を意識した、持続可能なデジタル基盤整備が不可欠です。
TOPPANでは、デジタル化とBPOを組み合わせた多様なソリューションにより、自治体業務の効率化と住民サービスの向上を目指す「自治体DX」を包括的に支援しています。
・【関連リンク】自治体のデジタル化をご支援!TOPPANの行政DX
社会保障・子育て支援への対応
少子高齢化の進展を背景に、2026年度予算で引き続き増加しているのが、年金・医療・介護を中心とした社会保障関係費です。
また、希望する誰もが安心して子どもを持ち、育てられる社会の実現に向け、児童手当の拡充や保育環境整備、教育負担軽減といった子育て支援策も強化されています。
いずれも給付と負担の見直しや業務効率化を進め、制度の持続可能性を確保することが重要課題です。デジタル活用や地域包括ケア推進により、サービス提供の質と効率の両立が求められています。
自治体では、給付業務の高度化や財政負担増への対応が課題となっており、EBPMに基づく施策選択が重要です。
TOPPANでは、子育て支援関連業務のBPOにも対応しています。新しい支援制度のスピーディーな実現をサポートします。
・【関連サービス】幼児教育・保育無償化 業務代行BPOサービス
GX・地域脱炭素の推進
政府が国家戦略として推進しているのが、脱炭素と経済成長の両立を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)」です。
再生可能エネルギー導入拡大や省エネ投資に加え、水素・アンモニアなど次世代エネルギーへの支援も強化されており、企業・行政・大学などが連携して脱炭素経済への移行を進める枠組みである「GXリーグ」を通じて、企業の脱炭素経営と市場創出を後押しする方針が示されています。
また、カーボンプライシング・排出量取引制度を見据えた制度整備も推進中です。投資対効果の可視化と官民連携により、持続可能な財源確保と実効性のある施策展開が求められています。
自治体には、再エネ導入やスマートシティ施策など地域脱炭素の取り組み拡大が期待されており、CO2削減量など定量的な成果指標に基づく事業設計が必要です。
TOPPANでも自治体の脱炭素推進を支援する「みんなのカーボンオフセット®︎」を提供しています。カーボンオフセットの手続きをオンライン上で、簡単に完結させることが可能です。
・【関連サービス】カーボン・オフセットサービス「みんなのカーボンオフセット®︎」
・参考:カーボンオフセットとは?自治体の脱炭素戦略における役割とGX時代の活用ガイド
このほか、SDGs・環境配慮の実践を支援する豊富なソリューションも提供しています。
防災・国土強靱化
2026年度予算における重要テーマとして、激甚化・頻発化する自然災害をふまえた事前防災・減災への投資も挙げられます。道路・橋梁・上下水道など老朽化インフラの計画的な更新・維持管理を進めるとともに、国土強靱化推進本部の方針に基づく中長期的な強靱化対策への予算計上も継続されています。
河川整備や治水、土砂災害対策などのハード整備に加え、迅速な避難・対応体制を構築するために欠かせないのが、防災DXによるデータ連携やリアルタイム情報活用などソフト対策の強化です。
自治体においては、地域防災計画の高度化や平時からの備えの強化など、災害対応力の向上が重要課題といえるでしょう。
TOPPANでは、地域の防災を強化する各種ソリューションにより、自治体を支援しています。
・【関連サービス】リモート水位監視ソリューション「スイミール®」ー自治体DX
物価高騰への対応
エネルギーや食料品価格の上昇を受け、2026年度予算でも継続されているのが、家計負担軽減に向けた支援策です。低所得世帯や子育て世帯への給付・補助による生活基盤の下支えに加え、中小企業向けには価格転嫁支援やコスト増対応策も強化されています。
また、賃上げ促進策や電気・ガス料金対策を通じ、実質所得の改善と内需拡大も図られています。
自治体に求められているのは、地域実情に応じたきめ細かな支援策の迅速な計画・執行です。
TOPPANでは、給付金業務のBPOを通じ、住民・職員双方の負担軽減を支援しています。
2026年度予算から見る自治体が活用すべき主な補助金・交付金
2026年度予算では、国の重点施策と連動した補助金・交付金が拡充され、自治体による事業推進を後押ししています。とくに、DX・GX・防災・地域活性化といった分野では、複数の支援制度が用意されており、横断的な活用が鍵となります。
単独事業として進めるのではなく、国の支援メニューを組み合わせることで、限られた一般財源を有効活用しながら事業規模や効果を高めることが可能です。こうした2026年度予算の動向をふまえると、国の政策トレンドと連動したテーマ設定が、自治体における予算確保や採択可能性を左右する重要なポイントといえるでしょう。
ここでは、自治体がとくに注目すべき主な補助金・交付金について解説します。
地域未来交付金
内閣府が所管する地域未来交付金は、地域のデジタル化や活性化を後押しする制度です。DXやスマートシティ、産業振興など、地域課題の解決に資する幅広い分野が対象となっており、複数自治体や民間企業と連携した広域・共創型プロジェクトが評価されやすい点が特徴です。
KPIや成果指標など、EBPMに基づく事業設計が採択の重要なポイントとなっています。初期投資負担の軽減だけでなく、他地域への横展開可能性も重視されており、自治体にはDX・GXなど重点政策と連動させた戦略的な活用が求められます。
参考:地域未来交付金
地域未来交付金活用事例についての詳細は、こちらをご参照ください。
重点支援地方交付金
重点支援地方交付金は、内閣府が所管し、物価高騰対策や地域課題への機動的な対応を目的とした制度です。エネルギー価格や生活費の上昇に対し、自治体は地域の実情に応じて柔軟に支援策を実施できる仕組みとなっています。
具体的には、低所得世帯支援や中小企業支援、公共施設の光熱費対策など幅広い用途に活用でき、使途の自由度が比較的高い点が特徴です。迅速な事業執行が求められる一方で、単年度的な対症療法にとどまらず、地域課題の構造的な解決につながる事業設計が重要です。
さらに、ほかの補助金・交付金と組み合わせることで、財源の最適化と政策効果の最大化が可能になります。
参考:物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金
地域脱炭素推進交付金
環境省が所管する地域脱炭素推進交付金は、地域における脱炭素化の実行を支援する制度です。再生可能エネルギー導入や省エネ設備、地域新電力の整備など幅広い事業が対象となっています。
「脱炭素先行地域」のような先進的モデル事業の創出・横展開も重視され、民間企業や金融機関と連携した官民共創型プロジェクトは評価されやすい傾向があります。
また、CO2削減量など定量的な成果指標の設定も求められることから、EBPMとの親和性が高い点も特徴です。自治体にとっては、GX戦略と連動した中長期的な地域づくりの核となる制度です。
参考:地域脱炭素推進交付金 - 脱炭素地域づくり支援サイト|環境省
2026年度予算のトレンドを掴んだ予算確保を進めよう
2026年度予算では、社会保障・GX・防災・DXといった重点分野への集中配分がより明確になりました。物価高や人件費上昇が続く中、従来型の横並びによる要求ではなく、「選択と集中」を意識した予算確保が不可欠です。
とくに、国の政策動向と連動したテーマ設定は、補助金・交付金の採択可能性を高める重要なポイントです。また、EBPMに基づく効果説明やKPI設計により、予算要求の説得力を高めることも欠かせません。
さらに、官民連携や複数制度の組み合わせを通じて、限られた財源のなかでも事業規模や効果を最大化する視点が求められており、庁内調整では、全庁的な優先順位付けと戦略的な資源配分が重要なポイントです。こうしたトレンドをふまえた先行的な事業設計は、次年度以降の持続的な財源確保につながるでしょう。
TOPPANでは、国の重点施策をふまえた各自治体の事業の推進を支援しています。進め方にお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献
- 令和8年度予算のポイント|財務省 (https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2026/seifuan2026/01.pdf)
- 地域未来交付金 |内閣官房・内閣府 (https://www.chisou.go.jp/sousei/about/chiikimiraikoufukin/index.html)
- 物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金|内閣官房・内閣府(https://www.chisou.go.jp/sousei/about/chiikimiraikoufukin/index.html)
- 地域脱炭素推進交付金|環境省 (https://policies.env.go.jp/policy/roadmap/grants/)
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